保護猫たちの日常動画などを紹介している人気のTwitterユーザー「仲良し保護猫 うに むぎ はち むー」(@uni_mugi_hachi)さん(以下、むーパパさん)は5月下旬、一緒に暮らす元保護猫むーくん(約1歳2カ月、雄)が致死率の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症したとSNS上で公表しました。

YouTubeの動画にはやせ細ったむーくんが映し出され、「あんなに元気でやんちゃだったむーくんが、こんなに弱った様子を見せるとは」「頑張れ!しんどいだろうけど、生きて!」などと応援メーセージが多数寄せられています。むーパパさんによると、むーくんは一時ご飯を全く食べられないほど衰弱していましたが、治療を開始してからは病状は安定しているとのこと。しかし、今も予断を許せない状況だといいます。

■40度の高熱、脱水症状…抗体検査で「FIPの可能性が高い」

異変が起きたのは5月中旬、朝から調子が悪そうにしていたというむーくん。瞬膜が上がり、身体も熱くなっていたため、むーパパさんがかかりつけの動物病院に連れて行きました。病院で体温を計ると、40.5度(猫の平熱は約38.0度)と高熱。血液検査の結果も思わしくなく脱水症状も見られ、点滴とインターフェロン注射を接種し風邪薬を処方してもらって、その日は帰宅したそうです。このとき、血液検査の数値と症状などからFIPの疑いがあったため、猫コロナウイルス(FCoV)抗体検査を外部機関に依頼したといいます。

数日後、むーくんの体調は改善されず。食べ物も水も受け付けなくなり歩いてもフラフラに…急きょ再診のため病院へ。診察中、抗体検査の結果が病院に届けられ、思いのほか抗体値が高く、獣医師から「FIPの可能性が非常に高い」と伝えられました。FIPは、治療をしなければ致死率が99.9%と言わわれている病気。場合によっては、「数日で亡くなってしまう危険もある」と告げられました。

■命の危険もあり治療薬処方を開始 そのまま入院へ

すぐにむーパパさんはFIPの治療ができる別の動物病院を探して、翌日に受診。改めて検査してもらったところ、やはりFIPの可能性が高いと診断を受けました。命の危険もあることから治療薬の処方を開始。同時に、脱水症状もひどくそのまま入院となりました。

入院時のむーくんの様子について「熱は下がっていたものの、かなりフラフラしていて辛いのかか細い声で鳴いていました。体調が悪くなる前の体重は4キロを超えていましたが、3キロ台にまで減少。ほおもすっかりこけていました」とむーパパさん。

「腎臓とリンパ節が炎症によりなんと1.5倍も肥大化。FIPの特徴的な症状が出ていたようです。まさか、あんなに元気だったむーくんがFIPになるなんて夢にも思いませんでした」と振り返ります。

■入院中、FIPと正式に診断 退院後は病状安定

入院の翌日、猫コロナウイルス(FCoV)定性検査(PCR検査)の結果が陽性と判明。ドライタイプのFIPと正式に診断されました。そして入院から3日後に退院、当日の血液検査のフィードバックを受けて、治療薬を処方してもらい帰宅したそうです。退院後、むーくんの症状は入院前と比べると回復。少しずつ食欲も出てきているといいます。

むーパパさんは「まだやせていますが、自力で歩けるようになりました。ご飯も食べてくれるようになってうれしいです。ただ、病気になる前、鳴くことはめったにありませんでしたが、辛いのでしょうか、鳴くようになりました。とにかく根気よく治療を続けていきたいです」と話します。

また、ケージの中にいるむーくんを心配しているのか、お兄さん猫のうにくんがずっとケージの上にいて見守っているそうです。

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■むーくんの生い立ち…車から捨てられたところを高校生に保護

むーくんとの出会いは、昨年(2020年)5月下旬。むーパパさんが、たまたま目にした栃木県の高校生のツイートがきっかけでした。

「高校帰宅途中に猫(子猫)ポイ捨てする車に遭遇。道路の線の所に猫は泣き叫びうずくまっていました。私はアレルギー持ちなので優しいご主人様の元に行かせてあげたいです。ご連絡お待ちしてます」

投稿内容を読んでいても立ってもいられなかったむーパパさんは、すぐに高校生にDMで連絡。住んでいる千葉県から栃木県に車で向かったといいます。子猫を拾ったものの兄弟の面倒を見るため、すぐ帰宅しなければならなかったという高校生。むーパパさんが現場へ向かうまで子猫を一時預かりしてもらえないかと近くの交番などに交渉しましたが断られてしまい、最終的に公園のトイレに段ボール箱に入れて子猫を置いてもらうことになりました。

むーパパさんは深夜、公園に到着。トイレ内に入ると段ボール箱が見つからず…どこからか子猫の鳴き声が聞こえてきて、子猫の声のする方向にスマートフォンのライトで照らしながら探し回り、トイレの掃除用入れの下にいるのを発見。数十分ほどかけて、何とか保護することができたといいます。

そのときの子猫がむーくんでした。

「この世に生を享(う)けてすぐ、心ない人間によって走行中の車の中から投げ捨てられるという悲劇から奇跡的に助かったむーくん。私たちと出会い、優しい兄と姉もできて幸せをつかみ取って、楽しい日々を送ってきました。そして、立ち上げた保護猫シェルターにやってくる多くの保護猫たちを温かく迎えてくれるなど、シェルターの運営を支える頼りがいのあるパートナーでもあります。FIPの発症を宿命、運命と言ってしまえばそれまでですが、治療方法があるからには実施して、何としても救いたい。皆さんに応援していただけたら幸いです」(むーパパさん)

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むーくんの様子は、InstagramやYouTubeの動画などで伝えていくそうです。

【猫伝染性腹膜炎(FIP)】猫コロナウイルスにより引き起こされる、致死率99.9%の非常に高い病気。猫コロナウイルスは本来病原性が高いウイルスではないが、体内で突然変異を起こし、致死性のウイルスに変わるという。若齢または高齢の猫の発症が多くみられ、発熱、沈うつ、食欲不振、体重減少、黄疸、腹水でお腹が膨れるなどの症状が起こる。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)