5月19日、JR西日本から驚きの発表がありました。それは「ご利用にあわせた列車ダイヤの見直し」…昨今の利用状況を踏まえ、2021年10月に、減便を中心とするダイヤ見直しを行うというものです。近畿エリアで約60本、近畿以外のエリアで約70本を減便するという内容に、「ここまでとは」と驚いたのは筆者だけではないでしょう。

避けられなかった列車本数の削減

JR西日本は5月19日に開催された社長会見にて「ご利用にあわせた列車ダイヤの見直し」を発表しました。

他の鉄道会社と同様にJR西日本も社会情勢の変化に苦慮しています。コロナ前と比較すると在来線特急の利用は約3割、近畿エリアとその他の各エリアも約6割〜7割止まりとなり、大変厳しい状況です。ワクチン接種後もコロナ前には戻らないとJR西日本は考えています。

苦しい状況であっても、できる限り路線は維持しなくてはなりません。それには列車本数の見直しなどの構造変化は待ったなしの状態です。

JR西日本は今年3月のダイヤ改正で深夜時間帯を中心に約300本もの列車を見直しました。今回の発表は今年3月のダイヤ改正に続くものです。

発表では今年10月に減少率が激しい昼間時間帯を中心に約130本の列車を減便するとしています。近畿エリアが約60本、近畿以外のエリアでは朝時間帯、夜間を含めて約70本減らす予定です。 

「1時間間隔」が広がりそうな近畿エリア

近畿エリアでは琵琶湖線(米原〜長浜)、JR京都線(高槻〜京都)、JR神戸線(須磨〜西明石)、山陽線(姫路〜上郡)、赤穂線(相生〜播州赤穂)、大和路線(奈良〜加茂)などが対象です。

近畿エリアでは昼間時間帯が対象なので、たとえばJR神戸線(須磨〜西明石)であれば須磨発10時26分〜15時26分(平日)で行われている普通列車の15分間隔運行が他の時間でも実施されることが予想されます。並行する山陽電気鉄道の普通列車も15分間隔(昼間時間帯)なので、20分間隔にすることはないでしょうが。

一方、赤穂線(相生〜播州赤穂)の昼間時間帯は30分間隔で運行されています。これを半減すると1時間間隔に。近畿エリアでも1時間間隔のエリアが広がることが予想されます。ちょっとした関西の鉄道旅行でも列車ダイヤの確認は必須となります。

近畿以外のエリアでは本数維持を求めて要望も

近畿エリア以外の対象線区は小浜線、越美北線、山陰線(北近畿エリア・山陰エリア)、きのくに線、和歌山線、山陽線(瀬戸内エリア)、瀬戸大橋線、伯備線、因美線、境線などです。これら各エリアは朝・夜間などの時間帯の見直しも含まれることから影響は大です。

ここで注目したいのは瀬戸大橋線や伯備線など特急列車が頻繁に行き交う路線も対象になっていることです。たとえば岡山と山陰を結ぶ伯備線は1時間に1本のペースで特急「やくも」が運行されています。

しかし県境越えにあたる新見(岡山県新見市)〜生山(鳥取県日野郡日南町)駅間の普通列車は1日上下各8本しかなく、昼間時間帯にいたっては2〜3時間に1本のみです。もしこの区間の列車本数が削減されたら、地元住民はもちろん長距離移動をする「青春18きっぷ」愛用者も大いに苦しむことになると思います。

また既に路線全体で列車本数が少ないところも対象になっています。福井県を走る越美北線(越前花堂〜九頭竜湖)では越前花堂〜越前大野間が1日上下各9本、越前大野〜九頭竜湖間にいたっては1日上下各4〜5本、日中時間帯(9時〜17時)にいたっては上下1日各2本しかありません。さすがに福井県と沿線の福井市と大野市は本数の維持を求めてJR西日本金沢支所に要望しました。

ちなみに福井駅〜越前大野間には京福バスが運行されていますが、これは1974(昭和49)年に廃止された京福電気鉄道越前本線勝山〜京福大野駅間の代替です。結果的に越美北線に敗北したわけですが、現在では鉄道よりもバスの方が本数が多い状態です。

ダイヤの詳細は7月に発表とのこと。少しでも沿線住民に影響が及ぼさないダイヤになることを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)