タレントの熊田曜子が夫から暴力をふるわれたことなどを理由に離婚を決意したことを公表した。他方、一部週刊誌によると夫側も熊田の不貞を主張しているという。一般的に夫婦関係において、双方がお互いに「夫婦関係が破綻した原因がある」として離婚を求めた場合、法的にどのように進んでいくのか。かつて歌手デビューを果たし、アイドルから法曹界に転じた平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。

 Q 離婚問題において、双方が互いに相手に非があると主張する場合、一般的にどのように進み、決着するのでしょうか?

 A 双方に非があると言えば、例えば夫婦共に不貞をはたらいたケースなどですね。この場合は財産分与や親権の取り決めといった話し合いと並行しながら、お互いがお互いに慰謝料請求をするということになるでしょう。違法性の程度、つまり不貞の回数や期間等が同程度なら慰謝料の金額も同程度になりますので、この場合は「相殺」されるだろうと思います。つまり、互いに慰謝料は0円ということですね。

 Q どちらかにより重い責任があると判断されることはあるのでしょうか。

 A もちろんあります。夫婦の責任が完全に同程度ということはまれです。例えば不貞に限らず、夫は不貞、妻は夫に対するDV又はモラハラと言った場合、果たしてどちらが責任が重いのかという問題になり得ます。慰謝料請求額は、類型ごとにある程度の相場が確立されていますので、責任の重い方が軽い方に支払うことは当然あり得ます。

 Q それは誰が決めるのですか?

 A 離婚は、協議離婚の段階に始まり、調停離婚、裁判離婚とステージが進んでいきます。協議離婚で済ませるケースも多いですが、しかし、財産分与や親権の取り決めを超えて、慰謝料請求権が発生しているということは、事がそう単純ではないということも意味します。その場合多くのケースで調停や裁判へ進むので、慰謝料の額等は最終的には裁判所(裁判官)が決めることになります。

 Q 双方に一定程度の責任がある場合、親権争いに影響がありますか?

 A 親権については責任の内容によります。お子さんを虐待している、ネグレクトしている等の場合は別として、単に不貞をしたというだけであれば親権争いにほぼ影響はありません。親権の判断においては「子の福祉」つまり、お子さんの健全な育成にあたって何が一番重要かという観点から決せられます。

 Q 財産分与については。

 A 財産分与についても、夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を清算するという制度にすぎないことから、仮に不貞をした側であっても財産分与を求める権利は失われず、こちらも特段の影響はありません。不貞をされたうえに財産まで2分の1にするのはとんでもない!とお怒りの相談を受けることもありますが、お怒りは慰謝料請求として解消するべき問題であって、財産分与とは別個にとらえるのが原則です。

 Q 慰謝料請求がからむ離婚の場合、期間はどれくらいかかるのでしょうか?

 A ケースバイケースですが、双方が納得しないならば最終的には離婚裁判まで進み、尋問なども行いますから1年半〜2年はかかるでしょう。2年以上もやっているケースも少なくありません。もっと早く進まないものかと思われるでしょうが、裁判所の期日が1か月〜2か月に1回のペースであるため時間がかかるというわけです。

◆平松 まゆき 弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。2010年に名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。