J(じぇい)くん(11カ月・オス)たち6匹の子猫は、2020年7月中旬、ある会社の敷地内で保護された。保護主は飼うことができなかったので、地域情報の掲示板サイトで里親を募集したという。

埼玉県に住む栗林さんの妻は、じぇいくんたち子猫の里親を募集投稿を見て、連絡を取って引き取りに行くことにした。

栗林さんは幼い頃から実家で犬を飼っていて、妻も実家で犬や猫を飼っていた。夫婦ともに動物好きだったせいか、息子も小さい時から猫が好きで、野良猫を見つけると自分から近づいてなでたり抱っこしたりしていた。

「ひとりっ子だったこともあり、いつか猫を飼ってあげたいと思っていました。ペット禁止の借家住まいだったので、家賃が上がっても構わないし、退出する時には全部きれいに修繕するから猫を飼わせてくださいとお願いしたのですが、だめだと断られたのです。2019年にいま住んでいる家に引っ越したので、猫を飼えるようになったのです」

子猫サプライズ!

2020年9月5日、妻と息子が子猫に会いに行った。栗林さんの妻はグレーと白のハチワレの子を引き取りたいと思ったが、一足先に飼い主が決まっていたので、残っている子の中から息子が茶白の子、じぇいくんを選んだ。保護主は「この子は一番元気で凄くまとわりついて来る子」だと言った。帰り道、車で30分ほどかかったが、じぇいくんは車の中でずっと鳴いていた。猫を飼うことも迎えに行くことも栗林さんには内緒で、帰宅したらサプライズのプレゼントが待っていた。

栗林さんが帰宅して、駐車場に停めた車から降りると、家の中からミャーミャー子猫の鳴き声が聞こえてきた。「もしかして、子猫!」と思い家に入ると、小さくて可愛いじぇいくんがいた。

「念願の猫だったので息子も妻もとても嬉しそうでしたし、私も初めての猫なのでこれからずっと一緒に居られると思うととても嬉しかったです」

じぇいくんは、家の中でも不安そうにミャーミャー鳴いていたが、人を威嚇したり怖がったりすることはなく、ごはんをたくさん食べ、トイレも最初からキチンとして、息子の腕の中で寝てしまった。

「一応ケージも用意したのですが人にくっついてる方が安心している感じだったので、初日から息子のベッドで一緒に寝ていました。夜中に起きて鳴いたりすることもなく、朝までおとなしく寝ていました」

座ると尻尾がアルファベットのJの形をしているので「ジェイ」と息子が名付けた。

翌日は日曜日で、家族全員家にいたので、じぇいくんも寂しくなかったのか、初日のように不安そうに鳴くこともなかった。部屋を探検したりソファーの上で寝たりして、すっかり家に慣れたようだった。

我が家の福猫

じぇいくんは、優しくて全然怒らないおっとりした子だった。平気で高いところに上ったり、移動用のバッグを購入した時は自ら中に入ったり、なんにでも興味津々、好奇心旺盛だという。

栗林家では、今年息子が大学を受験した。一応落ちるとか滑るという言葉は縁起が悪いので禁句にした。しかし、じぇいくんは高いところに上っては、置いてある物やお札やだるまなどを何回も落とした。しまいには浴槽の中に滑って落ちるという縁起の悪いことをしまくった。

「息子は無事合格したので笑い話ですが、じぇいが代わりに滑って落ちてくれたのかもしれないと今は思っています」

もともと明るい家庭だったという栗林家。じぇいくんが来てさらに明るい雰囲気になり、会話も増えた。

「コロナ自粛で色々と我慢することが多かったり息子の高校最後の文化祭などが中止になったりしましたが、じぇいが家に来てくれてなければ落ち込むこともあったかも知れないと思います。でも、じぇいが我が家の中心にいてくれたので、毎日楽しく過ごしています」

栗林家に来てまだ10カ月だが、何年も一緒にいるみたいなじぇいくん。最初は他の子が欲しくて消去法で選んだじぇいくんだったが、家に来てくれて本当に良かったと思っているそうだ。

「どこにでもいる何の変哲もない茶白の猫ですが、世界で一番可愛いと思うし、この子がいない生活は考えられないです。いてくれるだけで家族を幸せな気持ちにしてくれる我が家の福猫。息子の大学合格もじぇいのラッキーパワーのおかげだと思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)