会計前の本に挟まれている短冊状の伝票「売上スリップ」を国産レザーで再現したしおりが話題です。手掛けたのは「ごく普通の会社員」であり「元書店の息子」さん。書店を営んできた両親への感謝の気持ちも込められていました。

■本革使い完全再現「良い匂いがします」

 会社員の傍ら「自分が好きで思い入れのあるもの」をモチーフにしたグッズ製作を続ける「ベルク郎」さんは20日、自身が運営するオンラインストアで「売上スリップ型革製しおり」(税込み1000円)を発売しました。

 素材は国産本革「栃木レザー」のヌメ革。折り曲げができる厚さ0.6mmの革を使い、二つ折りの細長い形状を可能にしました。注文部数や注文の日付欄、架空の書籍名なども素押しと呼ばれる方法で印刷し本物そっくり。バーコードの代わりに添えられたQRコードは実際に読み込みできる精度の高さで、同店オンラインストアに繋がる仕組みです。

 本の上部に飛び出る半月型の突起部分も「専用抜型を起こして正確に再現しています」というこだわりぶり。「あと単純に革の良い匂いがします」。

■昼寝から目覚めたら「売り切れ」

 ベルク郎さんは20日、店のツイッターを更新し新商品の告知をしました。翌朝、「朝起きたら予想以上に売れていて嬉しい」。そしてその日の午後、驚きの展開を迎えます。「昼寝から目覚めたら全部売り切れている…!?マジで!?」。

 うれしい悲鳴を上げるベルク郎さんに話を聞きました。

 ーー発売翌日に完売しました。

 「正直ビックリしました。革製とはいえ、しおりとしては高値だと思っていたので、まさか即完売するとは思ってもいませんでした。売上スリップという誰もが一度は目にしたことがある普遍的なモチーフが思いの外ウケたのだと思います。皆さんの売上スリップ愛に驚かされました」

 ーー具体的な売上個数は。

 「初版50枚です。実は生産委託先の『革屋本舗』(大阪市北区)さんからロット100での生産のご相談をいただいたのですが、売り切る自信がなくてロット50にしていただいた経緯があります(笑)」

■元書店の息子として「作ってみたいな」

 「元書店の息子」だというベルク郎さん。実家は長年、書店を経営していました。お父様は70歳の人生の節目で店じまいをされたそうです。実家の家業は今回の商品化にも影響しているのでしょうか。

 「以前から『元書店の息子』としての思い入れやアイデンティティを込めたグッズを商品ラインナップに加えたいという思いがありました。いろいろと検討していく中で売上スリップのデザインの面白さに気付いたこと、徐々に廃止されつつあるというのを知ったこと、元書店の息子としてなじみがあったことから、このグッズを作ってみたいなと思いました」

■ツイッターのフォロワーが「お手伝いしますよ」

 ーー完成までに楽しめた工程は?

 「デザインを考える工程です。さまざまな出版社や書籍の売上スリップを眺めていると『ここのデザインがカッコいいな〜』というポイントがいくつも見つかるのですが、それらを集約して自分の理想的な売上スリップを作り上げる工程は本当に楽しかったですね」

 「実は自分はイラストレーター(デザイン編集ソフト)が不得手なのですが、そのことをツイッターでつぶやいたところ『お手伝いしますよ』と言ってくれたフォロワーさんがいて、その方とツイッターのDMでディスカッションしながらデザインを固めていったのも楽しかったです」

 「架空の書籍名の空想売上スリップ大図鑑や著者名の本尾積読など、そのフォロワーさんからの案を基に膨らませていった項目も多いんですよ。本屋lighthouseの関口竜平さんにも監修していただきました」

 ーー苦労した点は?

 「革加工の業者さんを見つけることです。売上スリップ型をオリジナルで製作してくれる業者さんを一から探さなければならなかったので本当に大変でした。インターネットで『ここならやってくれそうかな?』という業者を見つけて、ホームページから問い合わせて、データを送って、見積もりを取って、という作業を3社並行で進め、気が遠くなりそうでした。やり取りは本職であるメーカー系営業マンとしての長年の経験が活かされていると思います」

■架空の出版社名に隠された思い

 売れ行き好調につき追加生産「重版」が決定した同商品。再販は「9月下旬を予定しています」。

 次回作はデザインはそのままに、「素材や用途を変える方向になると思います。活版印刷での製作や、しおり以外の用途、例えば売上スリップ型アクリルキーホルダーなどを検討していきたいです」。

 ベルク郎さんは最後に、「元書店の息子」として熱い思いを語りました。

 「今回『売上スリップ型革製しおり』を作ったのは、出版不況と言われる昨今において、本を書いたり本を作ったり本を販売したりする全ての人達に感謝の気持ちを伝えたいなと。作家だと20年来の友人であるこだまさんや爪切男さん、その2人の担当編集者さん、本屋lighthouseの関口さんなど、いつも素晴らしい本を生み出してくれてありがとうという気持ちでいっぱいです」

 さらに、しおりの中の「ある秘密」も明かしました。

 「しおりの中の架空の書籍情報の出版社『サンブックス出版』というのは実家の書店名『サンブックス』から取りました。両親への感謝の思いを形に残しておきたいなと思った次第です」

 「売上スリップ型革製しおり」は、オンラインストア「bellkuro」に9月下旬ごろ入荷予定です。最新情報などは店の公式ツイッターアカウント(@bellkuro)で配信中。

(まいどなニュース・金井 かおる)