水中で優雅に泳ぐ金魚の群れに、波立つ水面…風流ですねえ。あれ?ここ美術館の中ですけど?

本物にしか見えないこの金魚は、アーティストの深堀隆介の作品。しかも絵!「エ!どこが?」と突っ込みたくなるが、器に流し込んだ透明な樹脂の表面に描いてはまた樹脂の層を重ねてその上に描く、ということを繰り返して、二次元の絵が積層になることで三次元に見える、という仕掛けだ。

CTスキャンなどの断層写真を手で描いているようなものかと考えれば理屈はわかるが、「どうしても絵には見えない」と、展示ケースの周りを金魚のようにぐるぐる回り続ける観客の姿も。

この深堀隆介の革命的絵画―2.5D Painting−が、「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府乙訓郡)の「和巧絶佳展ー令和時代の超工芸」として、「神戸ファッション美術館」(神戸市東灘区)の深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」として、公開されている。

深堀はアーティストとしての制作に行き詰まっていた時に、ふと7年間部屋で飼っていた金魚に魅了され、それをきっかけに、器の中に樹脂を流し込み、絵の具で金魚を描く技法を編み出した(深堀はこの出来事を「金魚救い」と呼んでいる)。

金魚の産地として知られる愛知県弥富市の金魚を見て育った深堀。ヒレの先まで手を抜かないこまやかさ、金魚の糞まで描かれるリアリティには、金魚へのリスペクトと愛が溢れている。現在は横浜のアトリエを「金魚養画場」と呼び、日々、描いた金魚に命を吹き込んでいる。

神戸ファッション美術館での、金魚すくいの屋台をイメージした新作のインスタレーションは撮影も可能。絵に見えない魅惑の金魚たちに会いに行こう。

■深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」神戸ファッション美術館
期間:2021年11月7日まで

■開館25周年記念「和巧絶佳展ー令和時代の超工芸」アサヒビール大山崎山荘美術館
期間:2021年12月5日まで

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・沢田 眉香子)