「エモ写真撮ろうとしてる飼い主をよそに穴を掘るイッヌ」とつぶやき、ツイッターに1枚の写真を投稿した、はこざきさん(@hakopu)。

そこに写っていたのは、南米ボリビアにある、雨期に鏡のような湖面が出現する「ウユニ塩湖」風の美しい海岸…の傍らで、熱心に穴を掘る犬の姿!

滅多に出現しないという、鏡のように空が映り込んだ穏やかな海面。その美しさを写真に収めようとしている飼い主さんをよそに、せっせと穴を掘るワンちゃん。美しさとおもしろさが共存する奇跡のワンシーンに、「可愛い」「水面に映る自分と戯れようとしてるんですかね」と、絶賛と爆笑のリプライが殺到しました。

「これはこれでよき一枚」
「背景よりも可愛いイッヌが一番エモい」
「真剣なわんこのリフレクションが愛おしいです」
「タルコフスキー世界が過ぎます」
「むしろいいワンポイントになっている」

芸術的な風景写真ならぬ、おもしろ可愛い犬の写真を撮影した、はこざきさん。以前、JR双葉駅(福島県双葉町)の「駅ノート」に書き込まれた「被災犬ローズちゃん」のツイートでも話題になった、福島県在住の会社員さんです。そして、エモ可愛い穴掘り姿を披露していたのは、はこざきさんの愛犬で、保護犬の男の子、ムッさん。

ウユニ塩湖のような美しい景色と、懸命に穴を掘っていたムッさんについて、はこざきさんにお話を伺いました。

ーーこのウユニ塩湖のような美しい海岸はどちらなのですか?

「福島県いわき市の四倉海水浴場です。きめの細かいさらさらした砂浜が広がる海水浴場で、波も良く、サーファーにも人気のスポットです。道の駅や、広い駐車場もあり、震災後に整備された遊歩道や、防潮堤を利用したサイクリングロードなどもあるため、犬散歩やランニングをする人、家族でサイクリングを楽しむ人などが、季節を問わず訪れています。

地元とはいえ、我が家から少し離れるのですが、車で出かけて散歩するコースのひとつです。この日は、前日通り過ぎた台風のため波も大きく、砂浜の奥まで波が入り込んで、あちこちで水鏡のような感じになっていました」

ーー台風一過のタイミングだったのですね。

「お隣の茨城県には、リフレクションビーチで有名な大洗があるのですが、いわき市にも、遠浅できめの細かい砂浜が続き、今回のような台風の後や大潮の前後など、干満差が大きい時などには、砂浜の奥まで波が入り込んで水鏡になる場所が多くあります。

ただ、風が出ると水面が波打ってしまうので、美しいリフレクションにはなりません。いわきでは、『風と坊主は10時から』という言い伝えのようなものがあるのですが、この写真も風が吹き始める前に撮影しました」

ーーそんな貴重な瞬間にムッさんは穴を掘っていたんですね(笑)。

「ムッさんは、車が平気なので、散歩コースをたくさん持っています。私が休みの日などは、海コース、山コース、川コース、田んぼコースなど、その日の気分で出かけており、この日は台風一過の海の様子を見ようと、海コースにしました。ムッさんは海なし県のシェルター育ちなので、いまだに大きな波の音にはビクッとしてますが、散歩自体が大好きなので、基本はご機嫌です」

ーームッさんとはどんな風に出会ったのですか?

「我が家ではずっと犬を飼っていたのですが、前の犬が亡くなってからしばらく犬を飼っていませんでした。その間、父は親戚の家の犬を、勝手に世話したり散歩したりしていたのですが(笑)、その犬が津波で亡くなり、勝手にペットロスになった父のために、新しい子を迎えようということになりました。

里親募集のサイトを通じてお見合いをしたのですが、実は最初は違う犬と会う予定でした。ところがシェルターに着くと、予定していた犬そっちのけでムッさんと打ち解ける父…。仕方ない、この子を連れて帰ろう、となりました」

ーーなんと(笑)。

「ムッさんは、”顔がキツい”ということでなかなか引き取り手がつかず、1年半ほどシェルターにお世話になっていたと聞きました。ただ、シェルターでたくさんの人に可愛がられていたためか、コミュニケーションも取りやすく、しつけも済んでいたため、引き取って困ったことはなかったのですが、この前、過去の写真を整理していたら、うちに来て3年くらいは廊下の隅で寝ていたようで、ムッさんなりに遠慮があったのだろうか…と家族で話していたところでした」

ーーお散歩中のムッさんの笑顔の写真を見ると、今が幸せなのがよくわかります…。

「なにせムッさんは散歩が好きなので、田んぼコースなどは、つねに小走りみたいな状態で付き合わされます(笑)。一度散歩に出ると、まだ帰らない、もうちょっとあっちに行くと主張し、他の家族が根を上げるほどです。そのため私が休みの日は、家族みんなが明らかにホッとしています(笑)。

犬を飼っている人はみんなそうだと思いますが、犬のおかげで季節を感じられたり、散歩時間帯に雨が降るかな、止むかな、と気象情報を気にしたり、雲の名前に詳しくなったりすると思います。ムッさんは被写体として優秀ではないけど、いろんなものを見せてくれるフィルターみたいな感じかな、と思っています」

ーー今回の写真も犬散歩の賜物ですね。

「今回の写真はiPhoneで撮影したものなのですが、コンデジで一生懸命、構図ガーとか、F値ガー、なんてやってる後ろで、せっせと穴を掘っていたイッヌが面白くて、ケータイで撮った方が結果的に最高の一瞬を切り取った一枚になったので、面白いな、好きだなと思ったものを撮影したものにはかなわないんだなぁ、と改めて思いました」

 ◇ ◇

貴重なタイミングで出現した、穏やかな海面の美しいリフレクション。愛する地元の美しい光景を芸術的に撮影しようと試みたところ、ちょっと苦手な波音を誤魔化すように、せっせと穴を掘っていた愛犬…。

狙ったイメージとは少し違ったようですが、愛するものたちが織りなす最高の一瞬が撮れたことは、間違いないようです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)