現在の戸籍法には読み仮名に関する規定がありません。将来的に戸籍をデータベースとして活用しやすくするため、戸籍の氏名に読み仮名をつけることが検討されているそうです。全国の男女計600人に聞いたところ、戸籍の氏名に「読み仮名」をつけることについて、8割の人が「賛成」と回答しました。また、読み仮名を認める条件として適切だと思うものについては、「公序良俗に反していない読み仮名」「漢字の読み方が、その漢字の音読みか訓読みで読める読み仮名」などに回答が集まったそうです。

株式会社NEXERが運営する「日本トレンドリサーチ」が2022年5月に実施した調査で、20代以下・30代・40代・50代・60代・70代以上の年齢層それぞれから男女50人ずつ回答を得たといいます。

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「戸籍の氏名に読み仮名をつけることについて、どのように思いますか」と聞いたところ、80.8%の人が「賛成」と回答しました。次いで、「どちらともいえない」が15.0%、「反対」が4.2%と続きました。それぞれの回答の理由については、以下のようなコメントが寄せられたそうです。

【「賛成」回答理由】
▽読めない戸籍は意味がない(50代男性)
▽誤認がなくわかりやすい(40代女性)
▽キラキラネームも多いので読み間違え防止に良いと思う(30代男性)
▽読み仮名をつけることによってミスが減るから(20代男性)
▽ほとんどの公的書類でふりがなを記入する必要があるのに戸籍だけ無いほうが変(60代男性)
▽漢字は登録してあるんだから、セットで読み仮名を登録したほうが便利だと思うから(50代女性)
▽デジタル化のために必要だから(40代男性)
▽今後は電子文書が増えると思うから、読み仮名があってもよいと思う。但し、通名の使用には弾力的であるべきだと思う(50代男性)
▽行政事務の効率化が進む(40代男性)
▽より分かりやすく、国民のサービスが迅速になるから(20代女性)
▽自分自身の名前が漢字は難しくないが読み間違いをよくされる名前なので、デジタル化にして入力が間違うと他人になってしまうことがあったので(50代女性)
▽仕事で他人の戸籍をみることがあるが、読み仮名を都度確認するのが不便(30代女性)
▽子孫にとっては読みがわかるほうがいい(50代女性)

【「反対」回答理由】
▽そもそも読めない名前にしないように法律を定めるのが良いと思う(20代女性)
▽個人情報の一部だから(60代女性)
▽戸籍は他人でも公用で取り寄せることができるので、漢字の読み方を情報提供することになり、犯罪への足掛かりにも成り得るから(50代男性)
▽悪用された場合、読み方が違えばおかしいと気付くこともあると思うし、役所では名前で呼ばれる事は無いので、必要ないと思うから(60代女性)
▽ルールを変えるのはめんどくさい(10代男性)
▽自分自身もパスポートの読み方と日本の読み方が違うため必要ないと思う(20代女性)
▽親のつけた呼び方とは違う読み方をしたいから(30代男性)
▽漢字の意味がなくなる(20代男性)
▽変更したいと本人が思ったとき手続きが大変になる(60代女性)

【「どちらともいえない」回答理由】
▽めったに利用しないので、どちらでも良い(50代男性)
▽行政側としては、管理がしやすくなるなどの利点があると思われるが、国民の視点で見ると利点があまり感じられないと考えたから(10代男性)
▽その作業に莫大な予算と労働が課せられるなら、いかがなものかと思います(50代女性)
▽どちらが便利なのかよくわからない(40代女性)
▽時代の流れからデジタル化は避けられないのでしょうけど、それに対応できない人もいるので(50代男性)
▽こちらが戸籍を取る時に読み仮名がないと混乱するケースがあるなら仕方ないと思います(30代女性)
▽当て字は日本の文化で、地名なども当て字の漢字で難読が多く読めないことが結構あるので、そこまで変える必要はあるのかと思う(20代女性)
▽便利で効率化が図れるのはわかるが、あまり知られたくないから(10代男性)
▽現時点でも、マイナンバーカードで様々な情報を一括して掌握しようとしており、戸籍法の改正でさらに国家での個人の管理が進む事に危機を感じるからです(40代男性)

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なお、名前の「読み仮名」については、戸籍法改正に向けた法制審議会でいくつかの案が出されています。実際に出された案の中で、「読み仮名の認める条件として適切だと思うもの」について聞くと、「公序良俗に反していない読み仮名」(56.8%)と「漢字の読み方が、その漢字の音読みか訓読みで読める読み仮名」(55.5%)に回答が集まりました。そのほか、「漢字の持っている意味との関連がある読み仮名」(39.0%)、「何かしらの正当な理由がある読み仮名」(37.3%)が挙げられた一方で、「いずれも適切だと思わない」(5.5%)という回答もあったそうです。

なお「読み仮名の認める条件」について法務省は、外国語由来や字の意味から連想できるものは読み仮名として認められると想定しており、例えば「大空(すかい)」や「光宙(ぴかちゅう)」といった読み仮名は認められる可能性が高いとしています。いわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる個性的な名前・読み方が許容される一方で、「一郎(たろう)」「高(ひくし)」など、明らかに漢字本来の読み方や意味と異なる読み仮名は認められない可能性があるとしています。

こういった「もともとの漢字の読み方ではなく、外国語や漢字の意味から連想されることが名前の読み方として認められることについて、どのように思いますか」と聞いたところ、「反対」が46.3%と最も多く、次いで「賛成」が30.5%、「どちらともいえない」が23.2%という結果になりました。

これを年代別で見ると、20代以下(賛成:45.0%/反対:37.0%)と50代(賛成:41.0%/反対:40.0%)では、「賛成」が「反対」を上回りました。

一方で、30代(賛成:24.0%/反対:46.0%)、40代(賛成:29.0%/反対:46.0%)、60代(賛成:28.0%/反対:47.0%)、70代(賛成:16.0%/反対:62.0%)では「反対」が「賛成」を上回ったそうです。

また、「漢字の意味から読み方が連想できない読み仮名が認められないことについて、どのように思いますか」と聞いたところ、60.8%の人が「賛成」と回答しました。次いで「反対」が23.2%、「どちらともいえない」が16.0%という結果になりました。

これを年代別で見ると、20代以下(賛成:55.0%/反対:26.0%)、30代(賛成:60.0%/反対:23.0%)、40代(賛成:65.0%/反対:23.0%)、50代(賛成:54.0%/反対:24.0%)、60代(賛成:62.0%/反対:24.0%)、70代(賛成:69.0%/反対:19.0%)となり、全ての年代で「賛成」が「反対」を大幅に上回る結果だったそうです。