6月17日、ウクライナ危機の支援を続けている『認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン』(以下、PWJ)が会見を行いました。現地を視察した医師・スタッフが語ったのは、ロシアの侵攻により大きな打撃を受けたウクライナの医療の現状、侵攻から3か月が経過し、日々の“暮らし”が戻りつつあるエリアもあること、そして戦時下にあっても、人々のそばには犬や猫などペットがいるということでした。

 PWJは1996年に設立された日本発のNGO(Non-Governmental Organization=非政府組織)で、これまで世界36の国と地域で活動。国内外の自然災害、紛争や貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人々を支援してきました。犬や猫の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動『ピースワンコ・ジャパン』プロジェクトでも知られています。

 今回のウクライナ危機に関しては、侵攻2日後に避難民が流入するポーランドにスタッフを派遣し、調査を開始。隣国モルドバでの物資支援や仮設診療所での医療支援、また提携団体を通じてウクライナ国内の人と動物への支援を継続中です。6月8日からは会見に出席した稲葉基高医師を含むスタッフ5名がウクライナに入り、首都キーウとチェルニーヒウの病院やリハビリ施設、障がい児施設などを視察しました。今後どのような支援が必要か、そのニーズを探るためです。

混乱の中で飼い主を失ってしまった犬や猫がたくさんいる

 視察団のメンバーにはPWJが運営する災害緊急支援プロジェクト『空飛ぶ捜索医療団 ARROWS』の救助犬ハンドラーであり、災害救助犬や低血糖アラート犬などの育成に携わる大西純子さんも。現地の様子や支援の内容についてお聞きしました。

大西「ウクライナ国内には、混乱の中で飼い主を失ってしまった犬や猫がたくさんいます。今回視察して感じたのは、思っていた以上にペットを残して避難している人たちが多い、ということ。もちろんやむを得ないのですが、せめて自由に、ということで放してきたんでしょうね。東日本大震災のときの福島の警戒区域内と同じように、放浪している犬や猫も多かったようです。今は誰かが預かって面倒を見ていたり、シェルターに入ったりしているようですが。ペットと一緒に家にとどまる決断をした方たちもいますが、物流が滞っていてペットフードなどは入手困難。PWJはクラウドファンディングなどを通じて皆様からいただいたご寄付をもとに、現地の動物グッズ販売企業COLLAR社と共同でペットとご家族に対する支援を実施しています。人への支援はもちろん大切ですが、動物の命も同じように守るべきものだと思っています」

ペットの新しい家族探しも

 大西さんたちはチェルニーヒウ郊外でCOLLAR社が週に一度行っているドッグフードやキャットフード、予防薬の配布場所へ赴き、動物たちと暮らす人々の声も聞きました。

大西「ご自分のペットだけでなく、預かったペットや取り残されてしまったペットの世話をしているという方もいました。『オーナーは誰か分からないが、泣く泣く置いて行ったのだろうから世話をしている』と。配布場所には長蛇の列。それだけ多くの動物たちが支援を待っているということです」

 PWJはこれまで多くの自然災害の被災地支援を行ってきましたが、大きく違うのは、ウクライナ危機は終わりがまったく見えないということ。戦況が落ち着いている地域には人が戻りつつあるようですが、“日常”を取り戻すにはまだまだ時間が掛かります。

大西「COLLAR社のスタッフはフード支援の継続と同時に、オーナーと取り残されたペットを引き合わせるお手伝いや、ポーランドやルーマニアも含め新しい家族を見つける活動もしていきたいと話していました。戦争と自然災害は違いますが、私たちが暮らす日本は災害大国。ペットを連れて避難しなければならない状況や、物流が滞ってペット用品が手に入らない、薬がもらえない、といった状況にいつ陥るか分かりません。ウクライナのペット支援にご協力いただく際には、ぜひわが身に置き換えて考えていただければと思います」

  ウクライナのペットとその家族を支援するクラウドファンディングは「READYFOR」「ウクライナ」「ペット支援」で検索できます。

(まいどなニュース特約・岡部 充代)