政府は新型コロナ感染症を感染症法上の分類2類から5類に引き下げようとしています。そうなると実際にどんなことが起こるのか、まとめてみました。

 検査や治療は保険診療になり、ワクチンも自己負担になります。PCRなどの高額な検査料は現在は国の負担ですが、5類になれば保険診療となり、患者さんの負担が激増します。確定診断後の治療も保険診療になりますが、いま使われている治療薬はどれも驚くほど高価で、使用されるべき症例に使用できないことも起こるでしょう。ワクチンも自己負担で、おそらく数万円になると思います。

 現状では陽性者は保健所が経過観察しています。重症化が予想される、またはすでに重症の患者さんは、保健所が入院を斡旋(あっせん)します。保健所は公権を持っていますので、病院に入院要請できますが、5類になると開業医にその役割が回ってきます。公権を持たない開業医は、病院から入院を断られたら終わりです。重症者の引き取り先がないとなれば、恐ろしくて発熱外来なんてできません。

 私の診療所では発熱外来は診察時間外に行っています。防護服、フェイスマスクなども2類感染症加算などでまかなわれています。5類になるとそれらの加算がなくなり、感染対策費用は全て持ち出しになります。今のような厳密な感染対策は緩まり、発熱患者さんも普通に院内で順番待ちするようになり、院内感染は激増するでしょう。

 単に5類にするだけなら、国家の責任放棄と捉えられても仕方ありませんが、政府としては5類に引き下げ後も、コロナだけは特殊な扱いにして、高額医療は公費負担にするなど、患者さんに負担がかからない方法を考える姿勢を見せています。期待したいですね。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。