但馬の田舎暮らしどんぐ屋 モリシ(@deka_morishi)さんがTwitterに投稿した、「川に落ちていた柴犬」を救助・保護したツイートが話題です。

モリシさんは兵庫県朝来市でお米と岩津ねぎを栽培する、若き農家さん。TwitterやYouTubeを通じて、田舎暮らしや農作業、合鴨農法の様子について投稿されています。

この日、合鴨農法を行う田んぼへカモのエサやりに出かけたモリシさんは、「川に落ちていた柴犬」を発見。いつ川に流されてもおかしくない状況だった柴犬を、仕事の相棒、トチオさんと共に救助。暗闇の中、懸命に救助する様子がYouTubeに投稿されています。

モリシさんによると、動画が撮影された数時間前、見知らぬ高齢の女性がリードをつけた犬2匹を車から降ろしていたのを、近所の方が目撃。その後、別の方が1匹を保護したものの、もう1匹は逃走。逃げた方の1匹が、「川に落ちていた柴犬」ではないか、ということでした。

保護直後、「川に落ちていた柴犬(オス)を保護しました。心当たりのある方、私の家で保護してますのでご連絡いただければと思います。一応警察に届けましたがもう一匹近場で同日保護されてるみたいです」とツイートしていたモリシさんに、「川に落ちていた柴犬」のその後について、お話を聞きました。

「動物」の公告期間は「2週間」

保護直後、すぐに近くの交番に向い、拾得物(柴犬)の届け出をしたモリシさん。連休中の保護だったため、連休明けすぐに動物病院に行ったところ、保護した犬はオスで、推定4〜9歳の柴犬。マイクロチップは装着されていませんでした。足に怪我をし、衰弱していましたが、特に健康状態に問題はなかったようです。

モリシさんのご実家は、これまでに7匹の犬を飼育してきたという愛犬家。おかげで保護期間中から柴犬はご家族から溺愛され、大事にされていました。

通常、飼い主不明の犬猫は「遺失物」として扱われ、「遺失物法」が適用されます。「遺失物法」では警察への届出から3ヶ月の公告後、拾得者が所有権を取得しますが、動物の場合は例外となり公告期間が2週間となります。

そして保護から2週間後、正式にモリシさんちに迎えられた柴犬は、「コタロウ」という可愛い名前をもらいました。保護直後は出来なかった「おすわり」を習得。現在は「お手」の特訓中というコタロウくんのこれからについて、モリシさんにお話を詳しく伺いました。

※飼い主不明の犬猫は、2週間の公告期間中に飼い主が現れない場合、拾得者が所有権を取得します。 拾得者が所有権を取得しない場合は、警察が公売等で適宜処分することになるそうです。

遺棄の様子を近所の方が目撃

ーー暗闇の中でのコタロウくん救助の緊迫した様子、YouTubeで拝見しました。

「この日、本業が休みの時に合鴨農法を手伝ってくれている相棒のトチオと、カモのエサやりに行ったところ、動物の鳴き声に気づきました。カモを襲いにきた害獣かと思い、鼻息荒く探しに向かったところ、カモのいる場所には異常はなく、鳴き声をたどって川の中をライトで照らすと犬のような姿が見えたため、救出するに至りました」

ーー動画でのお話によると、この日近所の方が、犬2匹を車から下ろす女性を目撃していたそうですね。

「私たちがコタロウを保護する2時間ほど前に目撃情報があったそうです。その1時間後に警察に通報があり、2匹のうち1匹を警察が保護したとのことでした。どうやら逃げたもう1匹がコタで、逃げた際に川に落ち、落ちたところを私たちが発見、保護したといった流れです」

保護した柴犬は、寂しがり屋のかまってちゃん

ーー保護時に、「噛まれないかな…」と心配していらっしゃいましたが、コタロウくんは最初からおとなしくていい子でしたね。

「保護当初はほんとに吠えないおとなしい子で、声帯を除去されてるんじゃ…と疑うほどでした。また、おすわりやお手などのしつけも全くされていませんでした。最近はおすわりをなんとか習得して、今はお手の練習中です」

ーー保護期間中からすでに、ご家族からかなり溺愛されていたようですね。

「僕が生まれる前からうちの家族は犬好きで、今までに7頭ほど飼っていたそうです。4年程前に最後に飼っていたミニチュアダックスが亡くなり、これが最後の犬だね…なんて話をしていました。

僕がコタロウを拾ったと実家に電話すると、すぐにリードと首輪を買い、届け出をした警察に持ってきた時には、僕もびっくりしました。保護する気満々やん!って(笑)。届け出から2週間経ち、警察に行って所有権の変更手続きを済ませたことを家族に報告したところ、家族みんなも喜んでくれました」

責任を持って育てます

ーー現在のコタロウくんの様子はいかがですか?

「心をかなり開いてくれたのか、構ってあげないと吠えるようになりました。しつけのために吠えたら構わないようにしてるのですが、心を鬼にしてやっています(笑)。散歩もとても嬉しそうで、テンションが爆上がりするので制御するのに必死です。最初の頃のおとなしさが嘘のようで、とても寂しがり屋のかまってちゃんだと言うことがわかりました」

ーー事情があって遺棄されたことを思うと切ないですが、コタロウくんはモリシさんと出会えて幸運でしたね。コタロウくんはまだトラクターが怖いそうですが、今後は「どんぐ屋」さんの看板犬として活躍してくれそうですか?

「コタロウと一緒にできる農作業を考えたのですが、ネギは犬に良くないので、芋掘りなんかを一緒にやったらどうかなと、トチオと話しています。犬は芋が好きですが、食べ過ぎるのもよくないので注視しないといけませんが(笑)」

ーーコタロウくんのもとの飼い主さんに伝えたいことはありますか?

「コタロウはうちで責任を持って育てるので、ご安心ください」

◇ ◇

警察からは顛末を教えてもらえなかったそうですが、モリシさんによると、コタロウくんと一緒に遺棄されたと思われるもう1匹のワンちゃんは、別の方が保護し、飼育されているのではないか、とのことでした。

今回は幸せな結末となりましたが、動物の遺棄・虐待は法律違反です。もちろん、どんな人にもやむを得ない事情が発生する可能性はあります。飼育継続が困難になった場合は、どうか1人で悩まず、保護団体や保健所、かかりつけの獣医師などに必ず相談してください。

※動物の遺棄・虐待は法律違反です。ペットの遺棄は、動物の愛護及び管理に関する法律第 44条第3項に基づき、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)