「なんか電柱曲がってない?と思って近づいてみたら、この通りだけ全部曲がってた。すごい光景」とTwitterに投稿したのは、Towers(@towers1961101)さん。北海道旭川市を訪れた際の繁華街の意外な様相に驚き、その光景をカメラに収めました。

居酒屋やスナックなどが立ち並ぶ通り。歩道には電柱が立っています。しかしその電柱、なんとぐにゃりと曲がっているではありませんか。

電柱といえば、地面から空に向かってまっすぐに伸びているイメージです。しかし、このような曲がった電柱があるとは…。

「旭川駅前から北東に伸びる平和通買物公園を歩いていたところ、目に飛び込んできたのがあの電柱でした。最初は一本だけかと思い、『なんだこれ?』と近付くと、あの光景が広がっていたので本当に驚きました」(Towersさん)

当のTowersさんも驚きつつ、この風景写真をTwitterで紹介したところ、リプ欄にも多くの反響が。驚きの声が多数寄せられています。

「すごい光景ですね」
「まるで画像加工して美形にした人の背景w」
「すごい能力者が歩いたあとだったりして」
「AIかとおもった」

なぜこのような電柱が? 強度や重心を心配する声も

Towersさんのツイートには、その光景を純粋に驚いたり、楽しんだりする人がいる一方で、「なぜこのような電柱が…?」というような声もありました。

また、「強度が失われます・・・電柱はまっすぐであるべき」、「重心がズレて倒れやすそう」というように、曲がっていることによって、倒れたり折れたりするリスクが高まるのでは…と心配する人も。

さらにそれらに対して、「公道ですので簡単に倒れるようなものは建てないのでは」、「そこは科学に基づいた凄い強度計算とかバランス計算がされているんでしょうね」というような意見もありました。

なお、Towersさんは、電柱を見た時の感想について、このように語られます。

「意図的に曲げて作られた電柱だとすぐに分かったので、強度については特に不安を感じませんでした。むしろ、この曲線美に魅了されたほどです」

さまざまな意見・感想が飛び交った電柱の形状の件。実際、なぜこのような電柱が置かれているのでしょうか。また、安全面への問題はないのでしょうか。

「S型組立鋼管柱」という曲げ加工が施された電柱、「安全性を確保しています」

この地域の送配電網の保守を所管する、北海道電力ネットワーク株式会社の担当者に聞きました。

実は、この電柱は「S型組立鋼管柱」といって、電柱を立てる位置に障害物があった場合に、それを避けて設置できるように、曲げ加工が施されたもの。

担当者によると、旭川市では2.3仲通の6丁目〜8丁目と3.4仲通の6丁目〜8丁目に、計18本のS型組立鋼管柱が設置されているとのことです。また、同社の他の管轄区域でも、数ヶ所の地域において設置されているそうです。

そんなS型組立鋼管柱が旭川の同区域で設置されるようになったのは、1987年のこと。自治体の側溝整備道路改良工事で電柱の建替が計画されましたが、この場所は道路幅が狭く埋設されている上下水道などの事情もあって、電柱の設置場所が制限されていました。さらに、繁華街ということもあり、飲食店などの看板と電線を離して設置する必要もありました。そのために、このような形状の電柱が採用されたそうです。

また、多くの方々が心配されていた強度や重心については、担当者はこのような見解を示されています。

 「一般的なコンクリート柱と同様、電気設備の技術基準に基づく強度基準を充たし、安全性を確保しています」

しっかりと安全面については保証されているとのこと。安心ですね。

無電柱化の動きもありますが…地域の今後は?

このように、整備上の都合もあって設置されたS型組立鋼管柱。ですが、街の景観の一部としても機能してきたことは間違いないでしょう。

実際、ツイ主であるTowersさんは、旭川市のこの風景を見た時の感想について、次のように語られています。

「この通りはスナックなどが入居する雑居ビルが多いこともあり、いい意味で雑多な雰囲気を感じ、電柱との相性の良さも印象に残りました」

電柱の存在も含めて、古きよきたたずまいを残す旭川市の繁華街。

しかし一方で、近年では電気系統・地域整備の改善のため、電線を地中化し電柱をなくす「無電柱化」の動きもあります。実際、京都市の繁華街・先斗町通でも、S型組立鋼管柱を含めた電柱がすべて撤去されました。

旭川市ではこの先について、どのような方針を掲げているのでしょうか?

「無電柱化は、北海道無電柱化推進協議会において道路管理者、電線管理者および地元自治体の合意を得ながら計画的に整備を進めており、同地域が無電柱化の対象路線になるまでは、しっかりメンテナンスを行い、可能な限り継続使用して行く予定です」(担当者)

時代の移り変わりの中で失われていくものもありますが、この電柱はまだしばらく、街の景観を担う一要素として機能し続けるようですね。

旭川市の独特な風景を写真で紹介されたTowersさんですが、実は今回、旭川以外にも色々な地域の写真も撮影されています。

全国各地の古きよき地下街を紹介する写真集、『地下街への招待 B1』を昨年末に自費出版されたTowersさん。今回は第2弾の制作に向けての取材旅行として、旭川、北見、釧路などの地域を5日間かけて巡ったそうで、旅の道中に見たものの写真もTwitterでたくさん公開されています。

なお、Towersさんの写真集は、兵庫県神戸元町の書店「1003(センサン)」、朝来市の書店「本は人生のおやつです!!」などで取り扱われており、ネット販売も行われています。

今回撮影された北海道の地下街も紹介する『地下街への招待 B2』は、年末に刊行予定。「まったく筆が進んでおらず気が遠くなりそうです…」とTowersさんは語りながらも、完成を目指して執筆を進めてゆくとのことでした。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))