【ワシントン清水憲司】主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が12日、米ワシントンで開幕した。初日は世界的に景気が上向いていることを確認したうえで、米欧が進める金融緩和の縮小で市場が混乱するリスクなどを議論した。

 日本からは日銀の黒田東彦総裁と浅川雅嗣財務官が出席。麻生太郎財務相は衆院選のため欠席し、浅川氏が代理を務めた。G20会議は13日も協議を行うが、経済情勢が安定していることを理由に共同声明は取りまとめない方針だ。

 「イタリアでさえうまくいっている。十分とは言えないが、私は楽観的だ」。議長国ドイツのショイブレ財務相は12日、G20会議に併せて開かれた金融業界の会合でこう表明。金融機関の健全化で課題の残るイタリアを引き合いに世界経済の堅調さをアピールした。リーマン・ショックを端緒とする世界的な金融危機直後の2009年から財務相を務め、近く退任する。「10年前、大きな危機を引き起こしたが、我々は成功を示さないといけない」とも述べた。

 しかし、リスクがなくなったわけではない。米欧の中央銀行が急速に金融緩和を縮小した場合、新興国から資金が流出し、市場に混乱を引き起こしかねない。日銀の黒田総裁はG20会議に先立ち、記者団に「国際的な金融市場にどういう影響が出るかがリスク要因になる」と語った。

 中国の企業債務の膨張や、北朝鮮情勢などの緊迫化が世界経済や投資家心理を冷え込ませる恐れなどリスクはほかにもある。G20が将来の景気後退に備えるためには、各国が構造改革を通じた経済成長力の強化に努める必要がありそうだ。

 日本は今回のG20会議で安倍晋三首相の消費税率10%への引き上げ時の増収分の使途変更方針に伴い、20年度に基礎的財政収支を黒字化させる「国際公約」を達成できなくなったと各国に説明した。浅川財務官によると、各国から強い異論が出なかったという。