◇社長に就任予定の大倉氏が会見で「20〜21年度に」

 三菱重工業から来年1月に分社して設立される「三菱造船」(横浜市)の社長に就任予定の大倉浩治執行役員が8日、長崎造船所(長崎市)内で記者会見し、現状約1000億円の商船事業の売上高を、2020〜21年度に1500億円まで増やす考えを明らかにした。欧州などで需要がある高級フェリーの受注が柱で、10年後には2000億円を目指すという。

 商船事業の分社化では三菱造船のほか、大型船などを建造する「三菱重工海洋鉄構」(長崎市)も同時に設立される。大倉氏は分社化について「海洋鉄構は建造に特化し、造船は新事業や技術に取り組む。ビジネスモデルが違うので、方向性や責任を明確にするためだ」と説明した。

 現状は受注済みの液化天然ガス(LNG)運搬船などを建造するが、19年度から操業が落ちる見通しのため、観光クルーズが盛んな欧州で需要のある高級フェリーの受注で売り上げ増を目指す。今年度の損益は黒字の見通しだが、大倉氏は「来年度以降も安定的に継続させたい」と述べた。

 一方、造船、鉄構の2社で計約800人が同造船所で働くが、雇用は分社後も維持される。溶接や船体内部の装飾に技術を持つ世代が高齢化しており、「自然減が多くなるので、むしろ採用を増やし、技術伝承を進めなければならない」と話した。【高橋慶浩】