外国メーカー車(外車)が日本での新車販売を伸ばしている。価格が比較的手ごろな小型車や個性的なデザインのスポーツタイプ多目的車(SUV)がヒット。景気回復も追い風に2017年の販売台数は20年ぶりに30万台を超えた。今後も好調を維持するには、顧客ニーズに応える幅広い品ぞろえや、先端技術を取り入れた新車戦略がカギとなりそうだ。【和田憲二】

 「17年の製品ラインアップはかつてないほど魅力的だった」。独BMW日本法人のペーター・クロンシュナーブル社長は1月、東京都内で記者会見し、胸を張った。日本自動車輸入組合(JAIA)の17年モデル別販売順位でセダン「5シリーズ」など5車種がトップ10入り。グループ傘下の小型車「ミニ」は2年連続トップを獲得した。

 小型SUV「GLA」などが堅調でブランド別で3年連続首位だったメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長も「小型車を積極的に投入したことで、30〜40代にも訴求できている」と顧客層拡大に手応えを示す。

 17年は外車14ブランドが過去最高の販売台数を記録。フェラーリやランボルギーニなど超高級車も含まれており、業界からは「株高で資産効果が出た」(アウディジャパンの斎藤徹社長)との声も上がっている。

 17年は日本車を含む国内新車市場全体も2年ぶりに500万台を突破したが、将来的には人口減少による新車需要の縮小は不可避なだけに、各社とも喜んでばかりはいられない。

 特に外車は景気の影響を受けやすく、継続して販売を伸ばすのは容易ではない。JAIA理事長も務めるクロンシュナーブル氏は18年の動向について「先進安全技術の搭載車などがけん引し、着実に成長するだろう」と期待感を示したが、具体的な台数見通しには言及しなかった。

 「安定的な成長のカギは消費者ニーズに愚直に向き合うこと」。外国メーカー各社のトップは口をそろえる。トランプ米大統領は「日本の自動車市場は閉鎖的だ」などと批判するが、狭い道路や駐車場で小回りが利く小型車を得意とする欧州勢は日本でもユーザーを広げてきた。米国車でも個性的なデザインのSUVが強みのジープは販売を伸ばしている。

 排ガス不正問題を起こした独フォルクスワーゲン(VW)は今月14日、日本では20年ぶりのディーゼル車となる新型「パサート」を発売した。走りと燃費の良さが特徴のクリーンディーゼル車は国内で現在10以上のブランドで計約60車種が販売されているが、17年は外車販売全体に占める比率が初めて2割を超えた。VWは今回の新車投入で、ディーゼル人気の勢いに乗りたい考えだ。

 一方、アウディは混雑した高速道路など一定の条件下ならドライバーがハンドルを握らなくても自動走行する「レベル3」と呼ぶ世界初の自動運転セダン「A8」を昨秋、欧州で発売した。「日本でも必要な法制度が整えば投入する」(斎藤社長)構えで、今後は先端技術を売り物にした販売競争も激化しそうだ。

 ◇キーワード・外国メーカー車(外車)

 輸入車のうち日本メーカーが海外生産し日本に輸出(逆輸入)する車を除いた総称。日本自動車輸入組合によると、2017年の外国メーカー車の国内販売台数は前年比3.7%増の30万6088台。30万台超えは1997年以来で、消費税増税前の駆け込み需要などで過去最高だった96年(32万4973台)に次ぐ高水準となった。

 日本での外車販売は、景気低迷などで09年に16万904台とピーク時から半減。その後は、各社が小型車などの品ぞろえを拡充したほか、景気の持ち直しも追い風となって、販売が復調。シェアはメルセデス・ベンツなどドイツ勢が圧倒的だが、小型車に強い仏ルノーやスポーツタイプ多目的車(SUV)が主力の米ジープなども販売を伸ばしている。