九州北部豪雨で道路が寸断されて一時孤立状態となった福岡県朝倉市の黒川地区(122世帯)は、土などで固めた応急道路が整備され、住民は15日から車で入れるようになった。16日、地区に入る住民に同行した。

 あさくら観光協会の里川径一(みちひと)さん(41)は自宅の片付けなどのために、避難している妻の実家から車で同地区へ向かった。車には復旧作業に必要な一輪車やスコップを載せた。

 市北東部の同地区は黒川沿いの狭い土地に民家が連なっている。市中心部から同地区へ向かう片側1車線だった道路は数百メートルにわたって崩落。応急道路は川岸に土や砂利などを固めて急造された。

 里川さんの自宅に着くと、家の前で長女の自転車が泥に埋まっていた。屋内にも土砂が入り込み、家財道具が散乱。土砂などをかき分け、黒川さんは通帳や健康保険証などを持ち出した。周囲を見渡すと、大半の民家に土砂が流入していた。1階部分がつぶれてしまった民家もあった。

 里川さんは「自宅は解体せざるを得ない。地区の風景はまったく変わってしまった」とつぶやいた。

 至る所で流木が目に入った。旧黒川小を利用した美術館「共星の里」の敷地も大量の倒木が流れ込んでいた。豪雨時に川幅数メートルの黒川は水量が増し、今も同地区に残る男性は(63)は「川幅は10倍になった」と振り返る。

 同地区は停電が続き、井戸水をくみ上げるポンプが使えない。豪雨後初めて実家を見に来た渕上和寛さん(44)は「まずはライフラインを復旧し、どれだけかかっても元のきれいな古里に戻したい」と力を込めた。【山下俊輔、中里顕】