◇75歳以上アンケート 「免許返納考えず」100人中70人

 3月施行の改正道路交通法で免許更新時などに75歳以上の認知機能検査が強化されたことを受けて、毎日新聞が日常的に運転している75歳以上100人にアンケートを実施した。免許の自主返納を考えている人は30人で、うち10人はここ1年間でペダルを踏み間違えるなど「ヒヤリ・ハット」経験があったと答えた。自主返納を考えていない70人のうち22人にもヒヤリ・ハット経験があり、多少不安があっても買い物や通院などで車が手放しにくい事情がうかがえた。

 回答を得たのは九州・山口で日常的に運転をしている75〜92歳の100人で、男性が70人、女性が30人。5〜6月に記者が街頭の駐車場や高齢者の集いに出向くなどして声を集めた。

 ここ1年間で自身の不注意などで運転時に「ヒヤリ・ハット」を経験したのは32人。具体的には、赤信号を見落とした7人▽一時停止を忘れた6人▽ペダルの踏み間違い、方向指示器の出し忘れが各3人−−などだった。宮崎県都城市の80歳男性は、アクセルとブレーキを踏み間違えて自宅の壁にぶつけたという。

 ヒヤリ・ハット経験があっても自主返納を考えていない22人からは「仕事や買い物で使う。バス停より駐車場が近く、坂道が多い長崎は車が便利」(長崎市の75歳男性)などの声があった。福岡県須恵町の男性(75)はアクセルとブレーキの踏み間違いなどもあるが、認知症でグループホームで暮らす妻(73)をほぼ毎日、施設からドライブに連れ出し、公園で車いすを押しながら外の空気を一緒に味わう。同年代の知人が自主返納したという話も聞くが、公園でふと見せる妻の気持ちよさそうな表情を見ると「もう少し運転させてほしいと思う」と話した。

 運転する主な目的を複数回答可で聞いたところ、買い物が87人と最多で、通院57人▽趣味・サークルなどの地域活動35人−−と続いた。80代のドライバーも「ゴミ出し」や「家族の送迎」などで日常的にハンドルを握っていた。【まとめ・青木絵美】

 九州大の志堂寺和則教授(交通心理学)の話 高齢者の事故防止対策として政府が自動ブレーキ装置などの搭載車両に限って運転を認める「限定条件付き免許」などを検討しているが、条件設定などが難しく課題はある。加齢により心身機能は急速に低下することもあり、免許更新期間の短縮で運転技能の確認機会を増やしたり、個々の状態に合った講習をしたりすることが求められる。