大阪市は10日、市を残したまま行政区の権限と機能を強化する「総合区」について、移行にかかる経費を約65億円と試算し、本庁と区役所を合わせた職員約1万6400人態勢の維持や総合区役所の位置などを盛り込んだ制度素案をまとめた。同日午前の市戦略会議で了承された。区の予算は従来の約3倍に増える見込み。今後、市を廃止して特別区を設ける「大阪都構想」と比較しながら、最終案作成に向けた議論を進める。

 総合区への移行は、府市が再挑戦を目指す都構想が実現しなかった場合に想定されている。移行までの期間を踏まえると、吉村洋文市長の今任期中(19年12月)に移行される可能性は低い。

 総合区は、過去の合区・分区の歴史的経緯や商業集積などを踏まえ、現行24区を8区に再編統合し、35年の人口規模を各区30万人程度とする。総合区役所の場所は、現在の区役所を交通の利便性などを検討して、淀川▽北▽福島▽城東▽西▽天王寺▽住吉▽平野−−を選んだ。区の名称は総合区の導入決定後、住民らの意見を踏まえて条例で定める。

 総合区に移譲する事務権限は「一般市並み」で、総合区長には職員の「任免権」、市長らと翌年度の予算編成の意見交換などができる「予算意見具申権」を与える。全8区の予算総額は16年度当初予算で試算すると、現行24区が使える予算から約3倍増の226億円。職員数は本庁を約1万1600人から約9400人に減らす一方、24区の約4800人を8総合区で約7000人に増やすため、実質的な増減はない。

 総合区移行後に現行24区は「地域自治区」となり、区役所は住民票の発行など窓口業務を継続する。住民が区内の課題を話し合い、市長や総合区長に意見を提出する「地域協議会」も運営する。

 吉村市長は、18年2〜3月に総合区案を作成し、導入に向けた基本方針を定めた上で設置関連議案を議決する「2段階方式」を検討。素案では総合区の設置日を関連議案制定から2年後をめどとした。計約65億円と試算する庁舎やシステムの改修、町名・住居表示の変更などにかかる時間を考慮したが、具体的な時期は示していない。【岡崎大輔】

 ◇総合区に移譲される事務の例

・市立保育所の運営

・生活保護受給者への就労支援

・放置自転車対策や駐輪場の整備

・道路(幹線道路を除く)の維持管理

・スポーツセンター、プールの運営

・災害時の避難所案内板の整備