名古屋市北区の自宅で2016年、小学6年の長男(当時12歳)を刺殺したとして、殺人罪に問われた父親の無職、佐竹憲吾被告(51)の裁判員裁判の論告求刑公判が11日、名古屋地裁(斎藤千恵裁判長)であった。検察側は佐竹被告に懲役16年を求刑し、弁護側は「殺意はなかった」として、傷害致死罪の適用を求め、結審した。判決は19日。

 検察側は論告で、長男崚太(りょうた)さんが佐竹被告の指示通りに中学受験の勉強をしないため、「暴力や暴言など恐怖で支配していた。(犯行当時は)何らかの理由で激高し、殺意を持って死亡させた」と主張。その上で「教育の名を借りた虐待とも言える身勝手な犯行」と指摘した。

 一方、弁護側は「何物にも代え難い息子を刺す動機がない。何らかの弾みで刺さった可能性が高い」と主張。傷害致死罪に当たるとして「法定刑の範囲内で適切に判断してほしい」と述べた。

 被告人質問で、佐竹被告は「素直に言うことを聞くから。反抗的な態度をとらなくなり、説明する時間が短縮できる」として、崚太さんが5年生の冬ごろから勉強を見る際にカッターで脅すようになり、事件前には包丁に変わったと述べた。また、犯行時は「一連の動作でどうなったのか全く分からない」として、記憶が無いと主張していた。この日の法廷でも「殺意はなかった」と改めて訴えた。

 起訴状によると、佐竹被告は16年8月、自宅で崚太さんの胸を包丁で1回突き刺し、失血死させたとしている。【川瀬慎一朗】