食品を扱う自販機が、広島県内でひそかに人気を集めている。24時間販売でき、人件費などのコストも削減できるとあって、飲料メーカー以外の企業も続々と参入している。広島発のユニークなアイデアで、県外へ販路を広げる企業もある。【池田一生】

 ◇もみじまんじゅう

 廿日市市に本店がある老舗菓子店「紅葉堂」は、もみじまんじゅうの自販機を同市や広島市、三原市に計10台を設置した。1箱2個入り(220円)と3個入り(330円)で販売。こしあんやクリームなど6〜8種類の味が楽しめる。自販機は飲料用を改良した。

 広島銘菓で知られるもみじまんじゅうは、土産物の定番でもある。地元でも気軽に味わってもらおうと、宮島(廿日市市)に2019年2月、実験的に3基を置き、好評だったため同9月以降に広島空港やアストラムラインの県庁前(中区)など5駅にも設置した。当初の予想を上回り、1日50箱以上を売り上げる自販機もあるという。

 隣県企業からの依頼もあり、紅葉堂では県西部を中心に30台の設置を目指す。竹内基浩社長は「地元の人に、もみじまんじゅうの魅力を再発見してもらえたら」と話す。

 ◇ピザ

 広島市中区にある袋町公園の脇には、24時間熱々のピザを提供する自販機「Pizza SELF(ピザセルフ)」がある。メニューはマルゲリータ(980円)と4種チーズ(1280円)の2種類で、本場イタリア・ベネチアの食品メーカーと共同で味を練り上げた。

 タッチパネルでメニューを選択すると、内蔵するオーブンで冷凍ピザを最高300度で加熱。一気に焼き上げる仕組みで、4分ほどで湯気たつピザが出てくる。

 自販機を運営するのは物流会社「イーライン」(同市佐伯区)。業態は異なるが「深夜に温かいピザを食べたかった」という谷口佳陽社長が考案した。当初、同市西区に設置していたところ話題になり、全国から一部の自販機マニアも訪れる人気スポットに。利用者を増やすため、2019年7月に現在の場所へ移した。

 同社によると、ピザの自販機は全国で初めて。20年3月までに東京・銀座に設置を計画しており、全国展開を目指している。谷口社長は「人手不足の時代に、人を介さずに商品を提供できる自販機には、大きな可能性を感じる」と語った。