大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)は14日の2019年12月期決算発表で、同社旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺の住民に対するアスベスト(石綿)被害の救済金について、19年末までの1年間で新たに20人に支払ったと明らかにした。これで住民被害者は計341人となり、元従業員を含めた工場内外の石綿被害者は計579人に。工場周辺での石綿公害が発覚してから20年6月で15年になるが、被害は拡大し続けている。

 北尾裕一社長は「多くの方々の健康被害を社長として深く重く受け止めている。企業の社会的な責任の見地から誠意をもって対応したい」と話した。

 石綿製の水道管を製造していた旧神崎工場の周辺では、05年6月末に住民の中皮腫発症が表面化。同社は06年4月、居住歴などを条件に中皮腫などの石綿疾患の患者1人当たり、2500万〜4600万円を支払う制度を設けた。

 同社によると、住民被害者341人のうち308人が亡くなっている。疾病別の内訳は、中皮腫330人、肺がん10人、石綿肺1人。救済金の総額は約130億円に上った。

 一方、同社の元従業員で石綿疾患により、19年中に労災認定され、新たに企業補償したのは9人。計238人となり、総額約42億円を支払ったとしている。【大島秀利】