黒く艶やかな1枚を手に取ると、ふわっと上品なかぐわしさ。口に入れるとパリッとした食感で、甘みやうまみとともに磯の香りが口いっぱいに広がりながら、少しずつとろけていく。自然豊かな「盤州干潟(ばんずひがた)」の恵みを受けた江戸前ノリだ。
ノリ養殖に取り組む千葉県木更津市の金田漁協の役員、実形(じつかた)博行さん(65)は「味はピカイチ」と胸を張る。
全国的に見ても限られた漁場でしか取れない青混ぜノリは、金田漁協の強みの一つ。一般的な板ノリに使われる黒ノリに、鮮やかな緑色の青ノリが混ざる。とりわけ磯の香りが強く、ほろ苦い味わいが特徴的だ。
金田漁協では生産したノリを加工し、販売している。実形さんの一押しは「焼ばら乾海苔」。収穫したノリをバラバラのまま干して焼き上げたもので、「みそ汁に入れても、ラーメンに入れても、ご飯に混ぜても、そのまま食べてもうまい」と万能だ。
金田漁協の組合長、高橋敏夫さん(72)は「白飯のおにぎりにノリを巻いて食べるのが最高」という。この地域ではカツオ節を具にした太巻きの「鉄砲巻き」が親しまれ、高橋さんも仕事中によく食べている。
例年、海水温が下がる9月ごろに養殖用の網にノリの種付けをし、11月ごろから収穫を始める。毎年違う天候や海水温に四苦八苦する。「ノリ養殖は皆、1年生。ベテランはいない」と、漁師歴40年以上の実形さんは難しさを語る。【高橋晃一】


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