◇世界陸上 男子50キロ競歩(13日)

 日本競歩界のエース・荒井が銅メダルだったリオデジャネイロ五輪から、さらに一回り成長した姿を見せた。

 序盤で世界記録保持者のディニが飛び出したが「付いていくと自分は潰れる」と冷静に判断。第2集団を作ると、そこでペースを自在に操った。37キロ付近で「集団をばらけさせたい」と小林を引き連れて抜け出し、逃げ切りに成功。ひたすら先頭集団で粘っての銅だったリオ五輪と対照的な歩きに「自分から攻めるレースができた」と胸を張った。

 リオ五輪後はイベントなどに追われ、1カ月半ほど練習ができなかった。達成感からフワフワした気持ちも続く。それでも「僕は才能がない。休んでいれば、すぐに追い抜かれてしまう」と言い聞かせ、練習に気持ちを向けた。荒井は学生時代は頭角を現せず、福井工大を卒業後に親の仕送りで競技を続けた「非エリート」。継続を身上とするから、五輪後も成長を続けることができた。

 5年前にロンドン五輪のコースを事前視察したが、五輪本番には出場できなかった。因縁の地でのメダルに「悔しい思いが僕の原点。今、思えば出られなくてよかった」とほほ笑む。

 しかし、満足はしない。ここ3年の世界大会で4位、3位、2位。たどり着いていない順位は残り一つ。「ディニは記録が違った。自分も独走のように行ける選手になりたい」と世界一を見据えた。【小林悠太】