◇世界陸上 男子50キロ競歩(13日)

 自身2回目の50キロとは思えない粘り強いレースだった。銅メダルの小林は「世界に怖さはなかった」。24歳は晴れ晴れとした表情で言ってのけた。

 何度か2位争いから後退しかけたが、その度に追いついた。荒井と2人で抜け出した終盤も、沿道のコーチ陣を探し、警告数やフォームの確認など冷静さを失わない。初出場らしからぬ底力を見せた。

 早大では箱根駅伝も目指して長距離もやっていたが、記録が伸びない。最後の挑戦で挑んだ大学3年の5月の記録会でも駄目で、監督から「競歩をやるか、マネジャーをやるか」と聞かれて嫌々、競歩に絞った。

 吹っ切れたのは、その年の夏。同学年の西塔拓己(現愛知製鋼)が世界選手権で6位に入り「高校の時に競っていた選手が世界で入賞している中で、僕は何をやっているんだ」と目が覚めた。

 2016年リオ五輪は20キロで代表を狙ったが選考会で敗退。悔しさを胸に、今大会へ向けて50キロに転向したのが奏功した。ただ、戸惑いもある。「メダルを取れてうれしいけど、日本人1位じゃないので喜んでいいのか分からない」。次は先輩の上を行ってみせるつもりだ。【新井隆一】