◇協会、全治2週間の診断書で、問題の重大さを初めて知る

 大相撲の横綱・日馬富士関(33)の前頭・貴ノ岩関(27)に対する暴行問題で、日本相撲協会は2日に情報をつかんでいたにもかかわらず、本格的な調査に乗り出したのは報道で明らかになった14日になってからだった。貴ノ岩関のけががあいまいだった点もあるが、協会内には「対応が後手に回った」と指摘する声もある。

 協会の執行部が問題を覚知したのは2日の鳥取県警からの連絡だった。問題が起きたのは鳥取市での秋巡業を控えて10月25日に行われたモンゴル出身力士らによる懇親会。けがをした貴ノ岩関は翌日も含めて29日の最終日まで巡業に参加した。一方で、貴ノ岩関の師匠の貴乃花親方(元横綱)は巡業最終日の29日以降に県警に被害届を提出したが、協会に報告しなかった。

 協会は11月3日、県警からの連絡を受けて鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)が貴乃花親方と日馬富士関の師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)に電話で事情を聴いた。この時、貴乃花親方は貴ノ岩関のけがは階段から落ちたことが原因で、暴行問題については伊勢ケ浜親方とともに「分からない」と説明したという。

 貴ノ岩関は今月2日に九州場所宿舎を置く福岡県田川市長を表敬訪問した。だが、5日から5日間、福岡市内の病院に入院し、10日には九州場所の休場を届け出た。通常は休場届とともに提出される診断書が出されたのは九州場所2日目の13日だった。

 協会は「脳しんとう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋(ずがい)底骨折、髄液漏の疑い」で全治2週間とする9日付の診断書で、問題の重大さを初めて知った。14日には両師匠を呼んで事情聴取。八角理事長(元横綱・北勝海)は「貴ノ岩は場所前の行事にも出ていた。診断書を見て初めて(大けがだと)知った。対応が遅れたとは思っていない」と語る。

 ただ、協会は07年に発生した時津風部屋の力士暴行死事件から暴力追放に取り組んできた。ある親方は「問題があれば師匠に話を聞くのが相撲界の流儀。だが、早い段階で本人に話を聞いていれば事態は変わったはず」と後手に回った協会の対応を嘆いた。【飯山太郎】