平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子が16日に始まる。この4年間の4回転ジャンプを巡る進化は著しい。史上最高レベルの勝負になるはずだ。

 ショートプログラム(SP)、フリーの合計の世界歴代最高得点は、羽生結弦(ANA)が2015年12月のグランプリ(GP)ファイナルで出した330.43点。SPでトーループ、サルコウの2種類の4回転に成功。フリーでもこの2種類で計3本を決めた。

 羽生はその2週間前のNHK杯で、史上初めてフリーで200点、合計で300点の大台を突破したばかりだった。NHK杯の記者会見で、フリーで跳ぶ4回転の本数についての質問が出た。2位だった金博洋(中国)は「四つ跳べれば十分」と答えたが、羽生は「四つで十分かと言われたら、そうでないと思う」と、高度な争いになることを予言した。

 その言葉通り、争いは激しくなった。羽生自身は金メダルを獲得した14年ソチ五輪の後から、平昌五輪を見据えて4回転を増やすプランを進めていた。4回転ループをエキシビションやアイスショーで積極的に試し、16年の秋に国際連盟の公認大会で史上初めて成功。今季は4回転ルッツにも挑んだ。

 宇野昌磨(トヨタ自動車)は、ジャンプの高度化に偏りかねない今の流れを「好ましくは思っていない」と言いながら「負けたくないから」と4回転を増やす努力をしている。16年に世界で初めてフリップに成功し、昨季はループを習得。昨年9月には自身4種類目のサルコウも決めた。

 ネーサン・チェン(米国)は今季、新たにループに成功したことで、史上初めて5種類の4回転を決めた選手になった。ハビエル・フェルナンデス(スペイン)は演技の完成度を重視して、サルコウとトーループに絞って跳んでいる。金は今年1月の4大陸選手権でルッツ、サルコウ、トーループの3種類計4本を跳んで優勝した。各選手それぞれに歩みや特徴がある。

 羽生は今月13日の記者会見で、五輪で予定するジャンプの種類について問われると「あまり言うことはないかな。作戦が大事」とけむに巻いた。演技構成には多くの選択肢があり、自身の状態はもちろん、他選手の動向も考えて決める。そこには駆け引きもある。

 4回転が多ければいいわけでもない。羽生もSP、フリーの世界歴代最高はそれぞれ17年に伸ばしているが、合計得点は今より4回転が少なかった2シーズン前のままだ。五輪の勝負では各選手がどんな選択をして演技に臨むか。注目される。【福田智沙】