【ブリュッセル八田浩輔】英国の欧州連合(EU)からの離脱に向けた初めての交渉が19日にブリュッセルで行われ、EUが英国に求める「手切れ金」や双方の市民の地位保全など、離脱の条件を巡る協議を優先して進めることで合意した。

 これらの課題で、EUが「十分な進展」を認めるまで、通商問題など離脱後の新たな関係に関する協議には入らない。最初から通商問題を並行交渉したかった英国側が、EU側の要求に譲歩した形だ。

 初日の交渉終了後に共同記者会見したEUのバルニエ首席交渉官と、英国のデービスEU離脱担当相が明らかにした。

 双方は、在英のEU加盟国出身者とEU圏の英国民の権利保障や、約1000億ユーロ(12兆4000億円)とも報じられる「手切れ金」の精算など、離脱の条件を巡る優先課題ごとに作業部会を設け、4週間に1度のペースで交渉を続けることで一致した。また、EU加盟国のアイルランドと英国領の北アイルランドで新たに生じる国境管理の協議も始めた。

 英国は今月8日の総選挙で与党・保守党が過半数割れし、メイ首相の離脱戦略への影響も注目されるが、デービス氏は「状況に変更はない」と強調。「EUの単一市場と関税同盟から離脱する」と従来通りの方針を説明し、EUと新たな自由貿易協定の締結を目指すと述べた。メイ氏は今月22日のEU首脳会議で加盟国に英国の離脱方針を改めて説明する。

 一方、バルニエ氏は「私は譲歩するつもりはない」と強調しながらも「双方に公正な協定(の締結)は可能だ。決裂するよりはるかに良い」と述べ、残り約1年9カ月の交渉期限の間に合意につなげる自信をみせた。ただEU内にも自由貿易協定の合意には数年かかるとの見方は根強い。

 英国は昨年6月の国民投票で離脱を決め、今年3月29日に正式に離脱を通告した。19年3月末にEU加盟国の権利を失う。