【モスクワ杉尾直哉】ロシア国防省は19日、シリア国内のユーフラテス川以西を飛行する米軍主導の有志国連合の軍用機や無人機について、「(地対空ミサイルなど)防空システムの標的とし、ロシア軍機を同伴飛行させる」と発表した。また米露軍用機のシリア上空での偶発的衝突回避で合意していた連絡体制などの覚書も即時破棄すると宣言した。シリアにおける米露両軍の緊張がさらに高まった形だ。

 ロシア側の措置は、米軍機が18日、シリア中部ラッカ県タブカ近郊でロシアが支援するシリア空軍のスホイ22戦闘爆撃機を撃墜したことへの反発。露国防省は、「シリアの主権侵害だ」と批判している。米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は19日、ロシアとの衝突回避の覚書に関し、早期に効力復活を働きかける意向を明らかにした。米露の作戦担当部署の間では一定のやりとりが続いているという。

 米中央軍は、シリア軍機を撃墜した理由について、「(米国が支援する反体制派の)『シリア民主軍』の部隊を攻撃していたため集団的自衛権に基づき反撃した」と説明している。

 一方、ロシア通信によると、撃墜されたシリア空軍機は過激派組織「イスラム国」(IS)に対して空爆作戦を実施していたとアサド政権側は説明しているという。撃墜地点はISが「首都」と見なすラッカに近い。アサド政権は自らに敵対する勢力は全て「テロリスト」と見なして攻撃を辞さない構えを維持している。