【ニューヨーク國枝すみれ、北京・浦松丈二、ソウル米村耕一】米領グアム周辺への弾道ミサイル発射を検討する北朝鮮に、軍事的報復をちらつかせて露骨な対立姿勢を取るトランプ米大統領の対応を不安視する声が米国内外で高まっている。中国の習近平国家主席はトランプ氏との11日の電話協議で緊張を激化させる言動を避けるよう呼びかけ、韓国政府も対話による解決を改めて求めた。

 「あの男(金正恩=キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)がやったことは、そのままでは済まない」。トランプ氏は11日、夏休みで滞在中の東部ニュージャージー州で行った記者会見で北朝鮮を強く批判し、軍事的対応も示唆した。

 北朝鮮は反米姿勢を取ることで政権の求心力を高めてきたが、従来の米政権は過剰反応は避けてきた。だが、トランプ氏は会見で「これまでの政権が何もしてこなかったから北朝鮮は悪さを続けた」と述べ、強硬姿勢を維持する構えだ。

 民主党のオバマ前政権で中央情報局(CIA)長官や国防長官などを歴任したレオン・パネッタ氏はCNNで、北朝鮮をめぐる現在の事態を、米国と旧ソ連が核戦争の瀬戸際に近づいたとされる1962年のキューバ危機以降で「最大の核戦争の危機」と主張。言葉の応酬が火に油を注ぎ誤算が起きる恐れがあると指摘して「責任に裏付けられた冷静な言葉を話す大統領が必要だ」と訴えた。

 北朝鮮の隣国の中国や韓国は米朝衝突に巻き込まれる事態を憂慮している。

 中国は重要な内政行事である秋の中国共産党大会を成功させるため米国との関係安定化に腐心してきた。だがトランプ政権との関係構築のきっかけだった北朝鮮問題が、今は米中間の不安定要素になっている。

 中国紙・環球時報は11日付の社説で「朝鮮(北朝鮮)が米国の領土を脅かすミサイルを発射し、報復を招いた場合、中国は中立を維持することを明確にすべきだ」と明記。中国は北朝鮮と条約上は軍事同盟関係にあるが、米国との衝突を避けるために「中立」を主張した。一方、社説は「北京にはワシントンと平壌を説得する力はない」とも認める。米朝対立に巻き込まれないため、中国は7月にロシアと共同で問題解決に向けた行程表を作成するなど、単独行動を避けるようになっている。

 一方、韓国大統領報道官は12日「(米中)両首脳による協議が、最高潮に達している緊張状態を解消し、問題解決の新局面に移る契機となることを願う」とのコメントを発表した。ある韓国大統領府関係者は「状況が重大になるにつれ、対話の機運も生まれるはずだ」とも語った。