◇政界の親イスラエルぶり改めて浮き彫り

 【ワシントン会川晴之】トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことを受け、米議会からは称賛する声が相次いでいる。支持者向けの公約実現に固執するトランプ氏の特異性が強調される今回の問題だが、米政界に根強い親イスラエルの姿勢も改めて浮き彫りにしたといえそうだ。

 「この部屋には幸せな人々がたくさんいる。エルサレム!」。トランプ氏は7日、ホワイトハウスで開かれたユダヤ教の光の祭り「ハヌカ」を祝う行事で、約300人の参加者を前に自身の決定を誇ってみせた。ユダヤ教徒である長女イバンカ大統領補佐官とその夫のクシュナー大統領上級顧問の姿もあった。

 米紙ワシントン・ポストなどによると、首都認定と米大使館のエルサレム移転の方針が決まったのは、11月27日にホワイトハウスで開かれた会議。ティラーソン国務長官やマティス国防長官は慎重論を展開したが、宗教右派を支持母体とするペンス副大統領やヘイリー国連大使、クシュナー氏らが支持した。

 マティス氏は決定公表前日の5日、記者団に米大使館のエルサレム移転による安全保障上の問題を聞かれ「私の意見を申し上げた」と語っており、治安上の懸念を具申したとみられる。ティラーソン氏は2012年にリビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件を念頭に移転に伴う危険性を主張したようだ。

 こうした現実主義者らの声を押し切ったトランプ氏の決定について、エルサレムへの大使館移転法案を1995年に圧倒的多数で可決した米議会関係者は称賛。ルビオ上院議員(共和)は「正しい方向への重要な一歩だ」と評価し、クルーズ上院議員(共和)も「歴史的偉業だ」と絶賛した。

 野党民主党のペロシ下院院内総務がエルサレムを首都と位置づけつつ、現時点での決定は「不要な抗議や緊張を引き起こし、中東和平の実現を遠ざける」との声明を出したのが目立つ程度だ。

 約700万人とされるユダヤ系米国人。その潤沢な資金と組織的なロビー活動による議会への影響力の強さは知られたところだ。また今年は第3次中東戦争でイスラエルが東エルサレムを占領してから50年の節目。米上院は開戦日の6月5日に大使館移転を促進する決議を90対ゼロで採択したこともあり、表立ってトランプ政権の決定に反対できない事情もあるようだ。