トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が行われた12日、県内に住む特定失踪者の家族や人権団体の関係者などからは、拉致など日本人が関わる問題について、日朝間の交渉が進むことを求める声が聞かれた。【大坂和也】

 特定失踪者とは政府が認定した拉致被害者とは別に、民間団体「特定失踪者問題調査会」(東京都)が独自に「拉致の可能性が排除できない」とした行方不明者で約470人いるとされる。県は8人について情報提供を呼び掛けている。

 2001年から長男・大助さん(失踪時23歳)が行方不明になっている阿南市の賀上(かがみ)文代さん(66)はテレビで首脳会談の報道を見守った。拉致について合意文書には明記されなかったが、トランプ大統領が記者会見で「話を提起した」と明かしたことに対し、賀上さんは「今回の会談で日朝の交渉が進む道筋ができていればうれしい」と話した。

 大助さんは拉致被害者として明確に認定されていない。賀上さんは「認定されないままでも、とにかく情報がほしい。帰って来てもらって話がしたい」と話し、今後の動きに期待を寄せた。

 県内などで北朝鮮が関わる日本人などの人権問題について情報発信している団体「北朝鮮人権人道ネットワーク」の陶久(すえひさ)敏郎代表(63)は「拉致については日朝間で解決する話。今回で交渉のチャンネルは増えたと言えるが、大きく前進したわけではない」と評価する。「北朝鮮は約束をほごにしてきた過去がある」とし「日本は将来の世代を見据えながら、妥協せず少しずつ話し合いを進めてほしい」と述べた。