見せたぞ“伏木魂”−−。東京ドームで開催中の第88回都市対抗野球大会第3日の16日、北信越代表の高岡市・伏木海陸運送は第3試合で東京都・JR東日本と対戦し、0−3で完敗。本大会4度目の挑戦でも初白星を挙げることはできなかった。それでも選手たちは随所で伏木らしい闘争心あふれるプレーを見せ、観客を魅了。地元から駆けつけた約4500人の応援団は最後まであきらめず、伏木コールを送った。【青山郁子、川崎健】

 ▽1回戦

伏木海陸運送(高岡市)

  000000000=0

  10101000×=3

JR東日本(東京都)

 5年ぶりの東京ドームとあって、伏木海陸運送応援団のムードは最高潮。新湊高出身で、埼玉県加須市在住の石井司郎さん(70)は試合開始2時間以上前にドーム入りし、「母校出身者も在籍しており、伏木の試合はいつも新聞でチェックしている。相手は強豪だが、最後まであきらめずチーム一丸となって戦ってほしい」と古里の若者たちにエールを送った。

 先発は社会人2年目の上野奨平投手。前日に先発を告げられ、「覚悟はあった。調子は良かった」というが、「相手の応援がすごくて硬さがあったかもしれない」と先制を許し、主導権を渡してしまった。6回3失点にまとめたものの、「3失点に抑えられたのは守備のおかげ。今後はもっと低めの制球力をつけなければならない」と課題を口にした。

 2度目のドーム登板だった城戸慎吾投手は1回3分の1を無失点。「調子が良かったので先発で投げられなかったのが残念だが、相手スタンドからの声援が聞こえないくらい集中して投げることができた。無失点で抑えることができたのは、持ち味の低めへの制球が今季一番の出来だったから」と胸を張った。

 一方、打線は相手のエース左腕、田嶋大樹投手を攻略できなかった。三回に9番・宮口恭平内野手が放った左前打がチーム唯一の安打。「何とか突破口を開こうと、塁に出ることだけを考えて打席に立った。役割は果たせたが、ドームは来るだけでは意味がない」と厳しい表情だった。

 敗れはしたが、伏木のあきらめない戦いぶりはライバルにも刺激を与えた。伏木と共に北信越予選を戦い、チーム全員で観戦したロキテクノベースボールクラブ(上市町)の伊東大輔主将は「今日は、このドームでみんなで試合をしたいという思いを一つにした。まずは打倒伏木です」と初の都市対抗出場に意欲を見せた。

 この日、無安打に終わった4番・乙野賢人捕手も決意を新たにした。「もう一回守備や打撃を強化して必ずここに戻ってくる」。そう誓い、さわやかにドームを後にした。

 ◇高岡市長、全力の一球

 ○…始球式には白い野球帽をかぶったスーツ姿の高橋正樹・高岡市長が登場。東京ドームで投げるのはチームが初戦で敗れた5年前の第83回大会以来2度目だ。駆け足でグラウンド内に入ると、マウンドの少し手前から左投げオーバースローで全力の一球を投じた。「スタンドにいる大観衆の雰囲気にのまれてしまった」と、ボールはコースを大きくそれ、ワンバウンドで捕手のミットへ。思うように練習時間が取れず、ぶっつけ本番だったというが、投げ終わった後は笑顔を見せた。高橋市長は「選手には気合を入れて頑張ってほしい。まずは初戦突破に向けて、この大舞台で伸び伸びとやってもらえれば」と、チームの本大会初勝利を期待していた。

 ◇父の分まで応援 故下条さんの三女良子さん

 ○…1988年の創部当時から伏木海陸運送野球部を支え続け、今年5月に86歳で急死したシンコー運輸倉庫(射水市)社長、下条(げじょう)俊雄さんの三女良子さん(58)=同市手崎=が、父の遺影とともにスタンドから声援を送った。下条さんは、同社が伏木海陸の協力会社だった縁で、部がまだ弱小だったころから応援し、車椅子でもスタンドに駆けつけるほどの熱心な伏木ファンだった。良子さんは社員約20人と一緒に来場。「父は(東京ドームでの)1勝を見届けることはできなかったが、こんなにたくさんの応援団が来てくれて感謝していると思います。選手には正々堂々と戦ってほしい。私も父の分まで頑張って応援します」と声を枯らしていた。