◇飾りたくなるアート心がけ 「絵が苦手な人ほど挑戦して」 田島奈保さん(40)=大野城市

 「絵を見た人が部屋に飾りたくなるようなアートを心がけています」と語る。チョークやオイルパステルを使って絵や文字を描くチョークアート。飲食店のメニューボードなどに使われており、ここ2、3年で福岡の街中でも目にする機会が増えてきた。

 幼い頃から絵を描くことが好きだった。本格的に絵画教室に通ったことはないが、「小学校の授業中は少女漫画の登場人物をノートの端に描くことに熱中していました」と笑う。

 チョークアートとの出会いは2003年。ワーキングホリデーで訪れた豪州だった。豪州はチョークアート発祥の地といわれ、元々は学校で使われる黒板にチョークでイラストやおすすめメニューを描いた看板が始まりという。凝った書体やロゴ、イラストを描いた看板が、カフェやレストランの軒先に並ぶのに目を奪われた。

 帰国後、絵と関係のない東京の会社に就職。同僚から偶然、日本チョークアート協会(東京)が認定する教室を勧められて通い始めた。オイルパステルがなじむように特殊加工された黒いボードにカーボン紙を使って下絵を写し、色を付ける。ボードに乗せたオイルパステルを指で広げたり、色を混ぜたりしながらグラデーションを作って立体感を表現する。「きれいなグラデーションが作れた時はうれしい。練習すればするほど上達していく楽しさがある」と語る。

 趣味として始めたが、約4年間習って指導資格を09年に取得。地元福岡へ戻り、チョークアートを広めようと雑貨店の一角で教室を開き、依頼を受けて作品を制作した。11年には、大野城市の自宅近くの西鉄春日原駅から徒歩3分のアパート2階をアトリエにして本格的な教室を始めた。現在は10〜60代の45人が通い、年に1度は生徒たちとグループ展を開く。「生徒さんが上手に描けて、それを友人や家族に喜んでもらえたという話を聞く時が一番うれしい」

 今年2月には、県庁11階の福岡の伝統工芸品などを展示する「福岡よかもんひろば」で、チョークアートライブを開いた。世界遺産をテーマに宗像・沖ノ島と関連遺産群にスポットを当て、数十メートルにわたる壁一面に宗像大社中津宮などを描いた。「鮮やかな発色と指で描く独特の仕上がりで、見るだけで癒やされて幸せな気持ちになれる魅力がある。多くの人にチョークアートを知ってもらえる活動を増やして絵が苦手な人にこそ、チョークアートに挑戦してみてほしい」【末永麻裕】

〔福岡都市圏版〕