◇新庁舎での展示、実現へ

 今年2月に県出身の演歌歌手、石川さゆりさんのコンサートを成功させた胎児性水俣病患者らが10日、コンサートの際に石川さんから贈られた大リーガー、イチロー選手のバットを水俣市に寄贈した。多くの市民らの支えでコンサートを成し遂げることができた証として、新しく建設される市役所庁舎での展示を要望。市側も前向きに検討し、受け入れることにした。【笠井光俊】

 バットは、イチロー選手が練習で使っていたもので、ボールが当たった跡が残り、イチロー選手のサインも入っている。患者らが企画して39年ぶりに開催し、満席となったコンサートの中で、サプライズのプレゼントとして石川さんから患者らに渡された。

 患者たちで作る「若かった患者の会」はサポートメンバーらとともにバットの活用法を話し合い、「たくさんの支えがあってコンサートを開催できたことを考えれば、多くの人が気軽にバットを見ることのできる場所に展示できたら」という考え方でまとまった。

 水俣市役所庁舎は昨年の熊本地震で使用できなくなり、建て替えの基本設計作りが進んでいる。5月下旬、その中で新庁舎のロビーなどに設置が検討されている市民交流スペースで展示することを念頭に寄贈を市に申し入れた。建て替えまでの約5年間は市立水俣病資料館で展示する。

 この日、西田弘志市長にバットを手渡した滝下昌文・患者の会会長(61)は「水俣病で私たちの体は思うように動かない。でもコンサートを開催できました。石川さんとの絆と多くの人たちの支えがあったからです。そんな理解と支えがあれば、不自由な体でも夢がかなえられます。感謝を込めてバットを贈ります」とあいさつした。西田市長は「皆さんや石川さゆりさん、イチロー選手の思いが詰まっている。このバットを見るたびにコンサートのことを思い出すと思う」と応えた。