介護業界の人手不足は慢性化しつつあります。だからこそ介護職を目指す人にとっては、今がチャンスと言えるでしょう。介護の仕事にはどのような種類があるのか、どのような資格などが必要なのかについて、介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

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介護の主な資格は「介護職員初任者研修」など4種類
介護の仕事は、一般的に「介護職」という名称で求人が出ています。
介護職の資格には、「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士(国家資格)」「ケアマネジャー(介護支援専門員)」「介護事務」などがあります。

最短1カ月でとれるものから、国家資格が必要なものまで様々です。
自分がどういう現場で、どういう仕事をしたいのかによって必要となる資格が変わってきます。
 
●介護職員初任者研修
「介護職員初任者研修」とは、従来、訪問介護員を行うために必要な入門資格であった「ホームヘルパー2級資格」が廃止となり代わりに設けられた、訪問介護員(ホームヘルパー)をするために必要な資格です。ちなみに、訪問介護員とは、介護が必要な人の家を訪問し介護サービスを提供する人のことです。

高室さんは「この資格は学歴も年齢も問われませんし未経験でも取得できます。受講のスタイルは通信講座、短期集中講座、土日のみ、夜間のみの講座など、いろいろなパターンで学べるので、仕事をしながらでもOK。もちろん主婦の方にもおすすめです。この資格を取得するためには約130時間に及ぶ講習を受ける必要があります。内容は自宅学習と通学での学習を合計したもので、すべてのカリキュラム修了後に1時間程度の筆記試験を受けて合格することが条件です」と話します。
資格を取得するために通う学校によっても異なりますが、期間は1カ月から4カ月などで、5万円〜6万円前後の費用がかかるところが多いようです。
 
●介護福祉士実務者研修
「介護福祉士実務者研修」は、かつてのホームヘルパー1級資格に相当する、介護職員初任者研修より一つ上の資格です。受験資格は特にありませんが、あらかじめ設定された450時間の受講科目を修了していることが必要です。
さらには、介護職員初任者研修を受講していれば、その分の130時間の研修は「読み替え」という形で免除されます。
介護福祉士実務者研修の修了者は、介護従業者としての実務経験に関係なく、「サービス提供責任者」になることができます。サービス提供責任者は訪問介護事業所で必ず配置しなければならない重要な職業となっているので、就職する際にも有利になる資格といえます。

「また、国家資格でもある介護福祉士試験の受験資格が、2017年より「実務経験3年以上」に加え「実務者研修の受講・修了」が新たに義務付けられました。もし、将来的に介護福祉士資格も目指すのであれば、介護福祉士実務者研修は必須となります」と高室さん。
 
●介護福祉士
介護福祉士は、介護資格の中でも唯一の国家資格で、介護職の最上位の資格となります。
介護福祉士の仕事内容は、食事や排泄、入浴の介助といった「身体介護」から利用者の家を訪問して、食事の調理、掃除・洗濯などをする「生活援助」のほか、生活や介護に関して利用者及び家族からの相談に乗り、助言を行う「相談・助言」も行います。

介護福祉士になるためには、「養成学校を修了する」か「受験資格(実務経験3年以上かつ実務者研修を修了)」を満たしたうえで国家試験に受験し合格する必要があります。
国家資格を取得していることで、資格のない人や介護職員初任者研修取得者と比べても給料が高く、資格手当などがつく場合があります。
 
●ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護サービスを提供するためには、利用者の状況に合ったケアプランが必要となります。ケアマネジャーの仕事は、介護を必要とする人とその家族の要望を聞いて、サービス提供者との間で調整を図りながら、ケアプランを作成します。

また、利用者が適切にサービスを利用できるように、月1回はモニタリング調査を行い、利用したサービスの確認や満足度や要望を聴き取り、利用した費用を算出し、給付書類の作成なども行います。

高室さんは、「訪問介護のヘルパーや通所介護のスタッフなどの現場は、ケアマネジャーが作成したケアプランに沿った個別サービス計画で介護サービスを行います。医療と介護の要であり、橋渡し役でもあるのがケアマネジャーです。まさに現場のコーディネーター的な役割を担う仕事です」と話します。

介護職を目指している人は、まず介護職員初任者研修の資格を取得します。その次に、実務者研修を終え、介護福祉士を取得し、最終的にケアマネジャーまで目指す人もいます。

ケアマネジャーの試験を受けるためには、介護福祉士の国家資格を取得しているか、生活相談員などの相談実務を5年以上経験している必要があります。
 
取材・文/金野和子
 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ最新介護保険の基本と仕組みがよ〜くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。