父母にとってなじみ深い大規模な組織、PTA、その活動については父母の負担が大きく、無駄も多いと経験者から不満の声が絶えません。そもそも、PTAとはどんな目的のために生まれた組織なのでしょうか?

戦後アメリカから伝わったPTAの歴史と目的

自身もお子さんが通う学校のPTA会員であり、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(太郎次郎社エディタス)などの著者・大塚玲子さんに話をうかがいました。

「戦後アメリカが文部省に、導入を指導したことがPTA誕生の背景にあり日本人に民主主義を学ばせる目的があったといわれています。アメリカでは母親が自発的に行っている団体でしたが、日本にはまだ自発的に活動する要素がなく、学校後援会や隣組のような全員参加を推奨する組織 として作られたのが、日本の現行PTAの始まりです」(大塚さん、以下同)

PTAの歴史を詳しくたどってみると、終戦後の1946年にさかのぼります。

アメリカから第一次米国教育使節団が来日。その報告書には、日本の教育の目的と内容について“教育というものは学校のみに限られたことではなく、家庭やその他社会構造すべてが果たすべき役割をもっている”と、あり、“児童生徒の福祉増進及び教育計画の改善のために、父母と先生の会に激励を与える義務を有する”とあります。

その後、1947年の極東委員会に置いて、「日本教育制度改革に関する指令」のなかで、”教育団体、父母と先生の会の結成と頭の切り替えが奨励されなければならぬ。そして日本人に、民主日本における教育方針の意味深い改革を認識させるために、それらの団体が具体的な教育上の問題を考究することを奨励しなければならない”とあり、PTAが民主主義教育を進める上で積極的に活動することを勧奨され始めたのです。

奨励として始まったPTAは、その後文部省が『父母と先生の会 -教育民主化のために-』という冊子を作成し、各都道府県に配布。その結果、全国の小中高校でPTAが結成され、現代においても“やらされている”という義務意識が残り、いまだに自主的な活動に切り替わっていないといいます。

PTA問題の根源は「平等負担」と「伝統の踏襲」

共働き世帯が増加傾向にある昨今、従来のように平日の日中に行われるPTA活動には、参加しづらい家庭も増えていますが、“絶対に来てください”と強制されることで、仕事を休まざるを得なくなり、不満の声が多いのです。

「地方よりも専業主婦率が高い都市部のほうが、平日の日中に活動するケースが多いです。共働き世帯が多い地方では、土曜日の午前中や平日の夜に集まるようにするなどの工夫がされています。人それぞれ生活スタイルは違うので、参加する人を増やしたいということであれば、活動する日を分けて選択肢を設けるのが理想だと思います」

こうした不満の声を汲んでか、委員会をなくして係り活動にする学校も少しずつ増えていると大塚さんはいいます。係り活動にして「●月●日に▲▲をするため参加できる人」と募ることで、委員長の鶴の一声で決まった活動日よりも合理的に人を集めることができるのだとか。

とはいえ、このように解決策があったとしても、実際にはなかなかPTAの運営や雰囲気が改善されないことにストレスを感じている父母が多いのも事実。PTAが上手く運営されない理由があるもの?

「PTAは本来の目的を考えることをせずに、会員全員に仕事を割り振ることや前年踏襲することが目的になりがちです。変えるためには、会長や役員、校長先生の許可が必要になり、一般会員だけでは変えることができません。かといって役員に立候補しても採用されないケースもあり、なかなか改善しづらいところがあります」

上層部の決断力と、一般会員の声が両者一致することで、はじめて問題解決に向けて動き出すことができます。しかし、PTAに関われるたった数年の期間では、「去年通りにすればいい」と諦めてしまう現実があるようです。

PTA参加への強制力は学校による自動加入も一因

PTAが強制加入ではなく、任意加入ということは少しずつ認知されていますが、未だに多くの保護者は誤認している現状があり、新たな問題が起こっています。

「PTAを強制加入だと思っている保護者には義務意識があります。そのため、PTAの非会員の家庭の子どもに対して、記念品を渡さない。PTAが見守りを務める夏休みのプール解放では、非会員の子どもは保護者の同伴が必須になるといった、子どもへの影響が出ています。PTAは会員向けのサービスをする団体ではないので、こういったことは許されるものではなく、学校もプールを提供する必要がなくなります。しかし、PTA会員としては、“会員じゃないのにズルい”といった感情が芽生えてしまうのが現状です」

多くの学校は、子どもが学校に入学すると同時にPTAに自動加入する仕組みを設けており、こういったことが“義務”だと思い込んでしまう保護者の意識を作っている要因のひとつだと大塚さんは指摘します。

「保護者の“義務”意識は、文部省や教育委員会のやり方にも責任の一端があるのですが、行政に指導を求めても反応はよくありません。 そのため、まずは一人ひとりが声を出して“変えていこう”という姿勢を表すことが大切です」

歴史を紐解くと、PTAは“やりたい”人たちが集まり、活動する団体ですが、日本のPTAはそうとは言い難い。強制加入の仕組みをなくしつつ、PTAないしは子どものための活動を訴えかけることで、自発的に父母が集まりストレスのない団体へと変わっていくのではないでしょうか。
(文・奈古善晴/考務店)