「全身の健康は歯から」といわれるように、歯は人間にとって重要な存在。だからこそ毎日の歯磨きを怠らず、歯の健康を維持している人がほとんどでしょう。子どもの歯も同様で、毎日ブラッシングをしてあげているママも多いと思いますが、そこで気になるのが「フッ素」。歯医者からの指導で、フッ素を使っているけど、子どもの健康に悪い影響がないのか心配…。大手町デンタルクリニックの歯科衛生士・西原奈保美さんに話をうかがいました。

フッ素の過剰摂取は急性中毒や慢性中毒になることもある

「フッ素は虫歯予防に効果的である」といわれている一方で、「フッ素はカラダに悪い」と指摘する人もいます。実際はどうなのでしょうか?

「フッ素には、『歯質強化』と『初期虫歯の修復』、『虫歯原因菌の酸の酸性を抑制』の3つの効果があり、虫歯予防に効果があります。また、フッ素は飲料水や普段の食事のなかにも微量ではありますが、含まれている成分です。しかし一方で、過剰に摂取してしまうと、急性中毒症状や慢性中毒の症状があらわれることがあります」(西原さん、以下同)

急性中毒の場合は嘔吐や下痢などの症状があり、慢性中毒では歯のフッ素症や骨硬化症などを発症する場合があるそう。ただし、あくまでもこれらは、フッ素を過剰に摂取した場合。日本国内においては、薬事法によって市販品や歯医者で使用されるフッ化物濃度は、明確に定められているといいます。

フッ素は2017年にフッ化物濃度の改定があった

「フッ素に関しては、2017年3月に改定があり、フッ化物を使用できる量が従来の最大1000ppmから、最大1500ppmに引き上げになっています。これに伴い、虫歯予防効果が9.7%向上した研究結果があります。しかし、1000ppmを超えるものは高濃度のフッ素となるため、WHOによって6歳未満の子どもへの使用を制限しているので注意が必要です」

ママのなかには、「歯医者さんからすすめられたから、ドラッグストアでフッ素ジェルなどを購入して使っている」という人もいるはず。しかし、前述の通り、フッ化物濃度によって年齢制限が設けられているため、使用する前に確認が必要。以下は、2017年に改定になった使用量です。

【年齢別フッ化物配合歯磨剤の使用料】

・生後6カ月〜2歳
研磨剤のフッ化物濃度:500ppm(フッ化ナトリウム)※泡状歯磨剤の場合1000ppm
使用量:切った爪程度の少量

・3〜5歳
研磨剤のフッ化物濃度:500ppm(フッ化ナトリウム)※泡状またはモノフルオロリン酸ナトリウム歯磨剤の場合1000ppm
使用量:5mm以下

・6〜14歳
研磨剤のフッ化物濃度:1000ppm(フッ化ナトリウム)
使用量:1cm程度

・15歳以上
研磨剤のフッ化物濃度:1000〜1500ppm(フッ化ナトリウム)
使用量:2cm程度

ドラッグストアでも販売されているフッ素ジェルなどには、商品パッケージに「フッ素●●●ppm」などのように表記が義務づけられているそうなので、使用する前に必ず確認しましょう。

子どもの歯にフッ素を塗りっぱなしにしてもいいの?

まだ小さい子どもの場合、うがいができずに歯に塗ったフッ素を吐き出せないケースもあります。そんなとき、かかりつけの歯医者から、「塗りっぱなしでいい」と指示を受けるママもいますが、はたしてこれは正解?

「かかりつけ医からいわれているなら安全だとは思います。ですが、もしできるなら唾液は吐き出させたほうがいいでしょう。また、フッ素塗布後30分は飲食を避けると、誤飲を防げ、歯の健康にも効果的です」

最後に西原さんはこう話します。

「フッ素を塗ったからといって、虫歯にならないわけではないですが、虫歯予防には効果があり、用法用量を守れば安全なものなので、虫歯になりやすいお子さんにはおすすめしたいです。でも、日ごろからしっかりコントロールできているなら、フッ素を無理に使用しなくてもいいと思います」

歯の健康のためには、フッ素の有無よりも毎日の歯磨きが重要。未就学児の場合は、毎日ママ・パパが仕上げ磨きをしてあげて、小学校低学年までは子どもの様子を見ながら、1週間に1回など仕上げ磨きをし、歯列が揃ったらデンタルフロスを使用するのがいいそうです。

「子どもがフッ素を飲みこんでしまうのが心配…」ということであれば、一度使用するのを中止して、しっかり“ぶくぶく”とうがいができるようになってから、再開してみてはいかがでしょうか。
(文・奈古善晴/考務店)