”クレジットカード顧客満足度調査からみえる、キャッシュレス決済の未来”

新型コロナウイルス感染拡大が契機となり、感染防止策の一環としてキャッシュレス決済利用者が増加中と言われています。例えば「三井住友カードは2―4月の新規申込数が各月とも前年比3―4割ほど増加」と『朝日新聞デジタル』(2020年6月27日付け)は報じています。

今回は日本のキャッシュレス決済利用の現状と、消費者がキャッシュレス決済を賢く利用するポイントを探ってみました。

加速する現金払いからキャッシュレス払いへのシフト

現金払いの公衆衛生リスクに気付き始めた消費者

スマホ決済サービスのカンムが2020年4月に発表したインターネット調査「お金に関する衛生観念と行動の変化 意識調査」によると、新型コロナウイルス感染拡大に伴い「外出が減った」人は74%に上りました。

また、外出が減った人が各種商業施設を利用する頻度は、「週4―5回」が31%から11%に減る一方、「週に1―0回」が11%から41%に増えています。この調査項目では外出控えと商業施設の利用機会、すなわちお金を使う機会との因果関係が如実に見られます。

同じく、外出が減った人の57%が「お金の取扱い意識が変わった」と回答しています。その変化は「現金を取り扱った後は手洗い・消毒を励行している」73%、「キャッシュレス決済を選ぶようにしている」45%、「買い物を実店舗からネットショッピングへ切り替えている」27%、「ATM利用回数を減らしている」23%などとなっています。この調査項目では「実店舗で買い物し、支払いは現金で行う」の従来の金銭取扱い意識が、新型コロナウイルス感染拡大を機に、消費者が現金払いの公衆衛生リスク(不特定多数の人が使い回す現金のウイルス感染リスク)に気付き始めた状況を窺わせています。

その結果、現金払いとキャッシュレス払いの割合を2020年1月と同年4月を比較すると、わずか3カ月で次のように変化しています。

・支払いはほぼ現金ː19%から17%へ、支払いの半分以上が現金ː30%から22%へ

……現金払いを主とする行動が10ポイント低下

・支払いはほぼキャッシュレスː6%から10%へ、支払いの半分以上がキャッシュレスː17%から23%へ

……キャッシュレス払いを主とする行動が10ポイント増加

クレジットカードの利用が低額商品にまで拡大

現金払いからキャッシュレス払いへの転換傾向は、キャッシュレス決済サービス業界の顧客満足度向上競争にも拍車をかけていると言われます。

コンサルティングのJ.D.パワージャパンが2020年8月に発表したインターネット調査「2020年クレジットカード顧客満足度調査」によると、買い物の決済方法に対する今後の意向(利用を増やしたい・今と同じぐらい利用したい)はクレジットカードː90%、電子マネーː76%、QR・バーコードː64%、現金ː53%、デビットカードː27%でした。

また同調査は、これまでクレジットカード利用率が低かったスーパーストア、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどのクレジットカード利用が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で増加傾向にあることも明らかにしています。すなわち旅行、レストラン、アパレル、家電など高額商品購入の決済が主流だったクレジットカードの利用が、低額商品の食料品、日用品など生活必需品の決済にも広がってきた傾向です。

こうした「クレジットカード市場の裾野拡大」を背景に、同調査は「クレジットカード各社においては、同業他社のみならず他のキャッシュレス決済サービスを含めた競争が激化しており、その中でメインのキャッシュレス決済サービスに選ばれるための顧客満足に向けた一層の取り組みが求められる」との趣旨のコメントを発しています。この趣旨に基づき、同調査は独自の評価基準により次のクレジットカード顧客満足度ランキングを発表しています。

年会費2万円以上部門

1位:JCBカード……………………704ポイント

2位:エポスカード…………………698ポイント

3位:アメリカン・エキスプレス…675ポイント

年会費1万円以上2万円未満部門

1位:楽天カード……706ポイント

2位:dカード………657ポイント

3位:セゾンカード……648ポイント

年会費1万円未満部門

1位:エポスカード………718ポイント

2位:楽天カード…………700ポイント

3位:au PAY カード……665ポイント

年会費無料部門

1位:楽天カード……684ポイント

2位:JCBカード……672ポイント

3位:オリコカード…659ポイント

国際的に見て日本のキャッシュレス決済普及率は低調です。例えば2015年時点では、キャッシュレス決済普及率最高と言われる韓国の89.1%に比べ日本の普及率は18.4%。4.8倍の差がありました。このため経済産業省は2018年4月に「キャッシュレス・ビジョン」と「クレジットカードデータ利用に係るAPIガイドライン」を発表。2025年にキャッシュレス決済比率40%の目標を掲げ、様々なキャッシュレス決済普及推進策を展開しています。

今後はこうした国の政策とキャッシュレス決済サービス業界の顧客満足度度向上競争との相乗効果で、現金払いからキャッシュレス払いへのシフトが加速すると見られています。

キャッシュレス決済を賢く利用するために知っておきたい基礎知識

キャッシュレス決済の種類

一般消費者が利用する主なキャッシュレス決済サービスには、次の種類があります。

クレジットカード決済

クレジットカード決済は、カード所有者の信用に基づき高額商品でも一括後払いで精算できるのが特徴です。

電子マネー決済

専用カードやスマートフォンアプリに所定金額をチャージ(入金)し、その金額内でキャッシュレス決済をする方法です。Suica、PASMOなどの交通系電子マネー、ショッピング系電子マネーなど電子マネーは多様化しているのが特徴です。

QRコード決済

スマートフォンにダウンロードした専用アプリとQRコードによりキャッシュレス決済をする方法です。電子マネー同様、チャージした金額内で利用できます。

デビットカード決済

カードによるキャッシュレス決済と同時にカード所有者の銀行口座から商品購入代金が引き落とされるキャッシュレス決済方法です。銀行口座の残高が足りない場合は利用できません。

キャッシュレス決済の精算方式

またキャッシュレス決済サービスは、精算のタイミングにより次の3方式に分かれます。

前払い方式(プリペイド方式)……専用カードやスマートフォンアプリに所定金額をチャージしておき、商品購入時にチャージした金額からその代金を精算する方式。電子マネー決済は基本的にこの方式

即時払い方式……商品購入と同時に銀行口座からその代金を引き落とす精算方式。デビットカード決済は基本的にこの方式

後払い方式……何回も商品購入をした後、精算締め日の翌月支払日に商品購入代金をカード所有者の銀行口座から一括で引き落とす精算方式。クレジットカード決済は基本的にこの方式

キャッシュレス決済利用のメリット

キャッシュレス決済は、消費者にとって現金払いの公衆衛生上のリスク回避に加え、次のメリットが挙げられます。

レジ精算のストレス解消……財布から紙幣や硬貨を取り出しその額を確認する、釣銭を受け取るなどの手続きを省略できるので、精算のストレスをなくせる

家計簿作成の自動化……決済履歴データ化を家計簿アプリ等にダウンロードできるので、家計簿作成を自動化できる

「ATMストレス」の解消……キャッシュレス決済の場合はATMから現金を引き出す必要がないので、ATM設置場所への移動時間、ATM利用の順番待ち、ATM利用料支払いなどの「ATMストレス」をなくせる

まとめ

長らく低調と言われた日本のキャッシュレス決済普及も、ようやく普及拡大の潮流に乗ったようです。新しいキャッシュレス決済サービスも次々と登場するなど、利便性も向上し続けています。

ただ、一口にキャッシュレス決済と言っても様々な種類と精算方式と特徴があり、1枚のカードやスマホアプリですべてのキャッシュレス決済サービスを受けられないのが現状です。したがって「クレジットカード顧客満足度ランキング」を始めとする各種キャッシュレス決済サービスランキング等を参考にそれぞれの特徴を調べ、自分のライフスタイルに適したサービスを見極めるのが「キャッシュレス決済の賢い利用法」といえそうです。