新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業業績は悪化していますが、なぜか株価は大きく反発し、バブル期の水準まで高騰しています。なぜ、コロナ禍で株価は上昇し続けているのでしょうか。


30年ぶりの高値をつける日経平均株価

景気の鏡とも言われるのが株価です。景気が好調であれば株価は上昇し、景気低迷が続けば、必然的に株価は下降線を辿ることになります。

しかし、コロナ禍で企業業績は悪化の一途を辿っているにもかかわらず、2020年の日経平均株価は、30年ぶりの高値で終え、2021年も高値水準で推移しています。日本は、好景気なのでしょうか。そんなことがないことは、誰もが実感しているはずです。

大和総研の「緊急事態宣言が1か月継続した場合の経済損の試算」によると、個人消費が約4.2兆円、実質GDPで約3兆円のマイナスになるそうです。つまり、企業業績が軒並み落ち込み、株価は下がり続けるのが経済の原則です。

中央銀行の金融緩和策が株価に影響

新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大した2020年3月は、NYダウも日経平均も株価が暴落しました。ところが、2020年暮れには大幅に戻し、NYダウは史上最高値、日経平均もバブル後の最高値を更新するという結果となりました。

その理由はどこにあるのでしょうか。エコノミストや証券アナリストの多くは、「コロナ禍の影響を受けないGAFAなどIT企業が株価を牽引」「ワクチン開発の期待」を株価高値の要因の一つにあげています。

もちろん、それらも要因でしょうが、もっと説得力があるのは「世界中の中央銀行が金融緩和策に乗り出しているから」という説です。

感染防止のために、各国はロックダウンや外出禁止など、経済を一時的に止める対策をとっています。そうすると、必然的に経済は悪化しますから、政府は一時金の支給や休業補償など大規模な財政支出や金融緩和策で落ち込んだ経済と国民の生活を支えます。

財政支出の原資となるのが、中央銀行が供給するマネーで、そのマネーが金融市場に大量に流れ込み、株価上昇につながっているというものです。

日銀という巨大な買い手の存在

日本のケースを見ていくと、そのことがよく理解できるのではないでしょうか。日本銀行が国債を大量に購入していることは、皆さんご存じでしょう。しかも、それだけではありません。「上場投資信託」(ETF)から「不動産投資信託」(J-REIT)まで買っています。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う株価が急落した2020年春には、単月で1兆円を超えるETF購入を実施し、ETFの累計購入金額は30兆円超となりました。株価は需要と供給のバランスによって決まりますが、日銀という巨大な買い手の存在が、株高の要因となっているようです。

つまり、日経平均が、コロナ禍にもかかわらずバブル期並みの水準になっているのは、金融緩和政策の影響と考えられます。

ここで懸念されるのが、バブルであれば、やがて“弾ける”ということです。実体経済とは乖離した株価が、いつまで今の水準を保ち続けることができるのでしょうか。今後は変化の激しい環境に対応していく必要があるでしょう。

まとめ

日銀の金融政策は、一体いつまで続けられるのか、また、正常化に向けて軟着陸ができるのか、そのとき株価はどのような動きとなるのか、まさに抜き差しならぬ状態にあることだけは、間違いなさそうです。

もし、日銀の金融緩和策が、ほんの少しでも緩むような気配を見せれば、株の大暴落という最悪のシナリオも、想定しておく必要があるのではないでしょうか。