雇用動向を示す重要指標の一つに有効求人倍率があります。有効求人倍率とは、どのようなものでどのように計算するのでしょうか。ビジネスパーソンとして基本的なことを押さえておきましょう。

仕事を探す人1人に対し何件の求人があるか

「有効求人倍率」とは、仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるのかを示すもので、雇用動向を示す重要指標の一つです。雇用動向は、景気動向にも連動しますから、景気動向指数の一致指数ともなっています。

有効求人倍率は、全国のハローワークの有効求人数を有効求職者数で割り、倍率が1を上回れば仕事を探している求職者よりも働く人を求めている企業数が多く、下回れば求職者の方が多い、ということになります。

つまり、求職者100人に対して求人が200件あれば、有効求人倍率は2.0倍となり、数値が大きければ大きいほど「就職しやすく」なります。また、求人が50件なら有効求人倍率0.5倍となり「就職しにくい」という状況になります。

2020年の有効求人倍率は1.18倍

有効求人倍率は、厚生労働省が「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で毎月発表していますが、2021年1月末に発表した2020年の有効求人倍率は1.18倍で、前年比0.42ポイント低下となっています。

1を上回っていますから、求職者数より求人数が多い状況ですが、この0.42ポイントの下落は、オイルショックの影響があった1975年以来45年ぶりの大きな下げ幅です。

また、総務省が発表した労働力調査によると、2020年平均の休業者数は過去最大となり、完全失業率が2.8%となり11年ぶりに悪化するなど、紛れもなく新型コロナウイルス感染症が、売り手市場一色だった雇用状況に影響を与えているようです。

2020年の休業者数の平均は256万人

休業者が大幅に増加したのは、1回目の緊急事態宣言が発令後の2020年4月です。その数597万人と過去最大を記録しました。ただ、2020年12月時点では新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻り、休業者数の2020年平均は、前年より80万人増の256万人でした。

2020年の完全失業率は5.1%の191万人で、前年比0.4ポイント(29万人)の上昇となりました。ただ、リーマン・ショック時ほどには悪化しなかったようです。その背景にあるのは、人手不足の産業が正社員を中心に採用を進めた結果です。

一方、厳しい状況にあるのが非正規雇用です。非正規社員は2,090万人と75万人減少し、比較可能な2014年以降では、初めて減少に転じました。

コロナ禍の厳しい経営環境が雇用に影響

さて、2020年12月の就業者数は6,666万人で、9か月連続の減少となりました。「勤め先や事業の都合」による離職者は40万人(前年同月比20万人増)で、こちらは11か月連続の増加です。

新型コロナに関連した解雇・雇い止めにあった人数(見込みを含む)は、厚労省が全国の労働局やハローワークを通じて集計した2021年1月22日時点で83,000人を超えています。

コロナ禍の厳しい経営環境で、従業員の解雇を迫られている企業が増えているようですが、2回目の緊急事態宣言発令の影響が、この後、どのようになるのかも見極める必要があるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大が収束する気配が見通せないなか、雇用状況の回復も不透明です。
ところで、“求人倍率”になぜ“有効”の二文字がついているのでしょうか。それは、「ハローワークでの求人数や求職者数が有効期間内(2か月間)にあること」を示すもので、その数値が確かだと認められる期間の目安とされています。