人事異動は、正式な辞令が出る前に、本人に“内示”というかたちで通知するのが一般的です。異動となれば、引継ぎの準備や関係先への挨拶まわり、さらに引っ越しの準備などをしなければなりませんから大変です。人事や総務などの管理部門も、手続きなどで忙殺されることになりますが、人事異動の季節に管理部門がやるべきこととはどのようなことでしょうか。

正式辞令の前に内示を出す理由

人事異動のシーズンが近づくと、ビジネスパーソンは何かと落ち着かなくなるものです。しかし、人事異動はビジネスパーソンの、いわば宿命のようなもの。キャリアップにつながる異動もあれば、転勤を伴う場合もあります。

通常、人事異動の内示は、直属の上司から伝えられますが、上層部から伝えられることもあります。異動となれば、本人はもちろん、人事や総務担当者もいろいろと手続きをしなければなりません。

本来は、正式な辞令が出るまでは口外しないのがルールです。しかし、いきなり異動となれば、後任への業務の引継ぎにも支障が出てしまうこともあります。正式な辞令の前に内示を出すのは、異動に伴う引継ぎや事務手続きをスムーズに行うための準備をするための期間を与えるためです。異動の内示は、1か月前に出されることが多いようです。

人事異動に伴いやるべきこと

人事異動の内示を受けると、担当していた業務の引継ぎや挨拶まわりの準備、転勤を伴う場合は引っ越しの準備もしなければなりません。デスクまわりの整理も必要ですし、とにかくやらねばならないことがヤマほどあります。

一方で社員が人事異動に伴い、転勤・出向などが発生したときには、人事や総務の管理部門も、社会保険などの手続きをしなければなりません。

転勤によって住所が変更となる場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者住所変更届が必要ですし、転籍出向となれば雇用保険被保険者資格喪失届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。

社会保険は、社員が安心して働くための制度ですから、滞りなく変更手続きをしなくてはなりません。しかし、経験の浅い管理部門の担当者にとっては、用意する書類や、それぞれ届け出る役所も違いますから、戸惑うことも多いのではないでしょうか。

管理部門の役割は社員が働きやすい環境を整えること

人事や総務といった管理部門は、採用や人事評価、労務管理と業務は多岐にわたり、ときには異動や配置転換などの人事戦略にもかかわります。

営業のように、実績が目に見える数字で示されるわけではありませんから、細かいことまで担う“何でも屋”という印象を持つ人もいますが、会社の重要な資源となる人材の採用から育成まで、経営に深く結びつく重要な役割を担っています。

その主要な役割の一つが、社員が働きやすい環境を整えることです。異動に手続き伴う手続きをスムーズに進め、異動する本人の準備も滞りなくできるようにサポートすることも、その役割に含まれます。

社員とのコミュニケーションが大切

ステップアップしていくためには欠かせない人事異動ですが、必ずしも自分が希望する異動先でないケースもあります。特に家族の事情で転勤を伴う人事異動を、どうしても受け入れられない場合もあるでしょう。

正当な理由がなければ、転勤を断ることができない、というのがビジネスの世界では暗黙の了解事項でしたが、まだ数は少ないものの、近年は“転勤なし”を採用の条件にしている企業もあります。

異動に伴う手続きを遅滞なく進めることは大事なことですが、その前に、常に、社員とのコミュニケーションを深め、子育てや介護などの家庭環境など、個々の社員の事情を把握しておくことで、人事異動による不満を減らすことには大切ではないでしょうか。

まとめ

最近は、転勤事務手続きのクラウドサービスやアウトソーシングも増えています。それらを活用することも、異動の手続きをスムーズに行うためには必要なことです。そして社員とのコミュニケーションなど、管理部門は、人事異動の時期にかかわらず、通年でやるべきことがたくさんあるようです。