2020年4月1日より施行された「同一労働同一賃金」のための改正パートタイム・有期雇用労働法。今年2021年4月1日からは中小企業を含めた全ての企業にも適用されました。

「同一労働同一賃金」は、同じ企業内や団体内での、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもので、働き方改革関連法のひとつです。

大企業はひと足早く対応することが求められましたが、中小企業のなかには今まさにその対応に追われているところもあるでしょう。一方で、本制度にまだ未対応、もしくは内容すら把握できていない、という企業もあるようです。

本記事では、「同一労働同一賃金」について改めておさらいします。

中小企業への「同一労働同一賃金」に関するアンケートでは厳しい結果も

社会保険雇用情報管理システム「Esia-Zero(イージア・ゼロ)」を提供している株式会社日本シャルフ(本社所在地:東京都新宿区、代表取締役:高田 弘明氏)は、従業員数300名以下の中小企業の経営者1,063名を対象に、「同一労働同一賃金」に関する調査を実施しました(調査期間:2020年12月22日〜2021年1月4日、調査方法:インターネット調査)。中小企業の経営者は、「同一労働同一賃金」についてどの程度理解・把握していて、どのような対策を講じているのでしょうか? 調査結果の一部をご紹介します。

はじめに「“同一労働同一賃金”についてどの程度理解・把握していますか?」と質問。その結果は「同一の職務内容であれば正規労働者と非正規労働者の待遇を同一にしなければならないことは把握している(42.6%)」が最多で、次いで「法改正の詳細内容を理解・把握している(31.0%)」「あまりよく理解・把握できていない(18.9%)」「全く理解・把握できていない(7.5%)」と続きました。2020年12月下旬〜2021年1月初旬時点では、正規・非正規にかかわらず待遇を同一にしなければならないという、ざっくりとした内容は理解・把握している経営者が多かったようです。

また「“同一労働同一賃金”に向けた対策を実施していますか?」という質問では、2020年12月下旬〜2021年1月初旬時点で「まだ対策を実施していない(35.7%)」と答えた経営者が最も多く、以下「すでに対策実施済み(33.1%)」「現在対策実施中(31.2%)」と続きました。

さらに、2020年12月下旬〜2021年1月初旬時点で対策を実施していない経営者372名に対して「今後対策をする予定はありますか?」と質問。結果は首位が「対策する予定はない(75.5%)」、以降は「2022年以降に対策する予定(9.4%)」「2021年4月〜6月までには対策する予定(5.1%)」と続きました。自由形式の回答では「対応すると倒産する」「同じ労働でもパートと正社員では問題が発生した場合の責任の重さが違うので、そのあたりをどのように判断したらいいかわからない」といった声があがっており、企業の戸惑いや厳しさが垣間見える結果となりました。

「同一労働同一賃金」のポイントをチェック!

「同一労働同一賃金」のための改正パートタイム・有期雇用労働法の内容は、厚生労働省による「同一労働同一賃金ガイドライン」に全て記載されており、大変複雑な内容です。

ここでは、ごく基本的なポイントをご説明します。

■「同一労働同一賃金」について事業主に求められていること

同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されています。 事業主は、正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の働き方の違いに応じて、均衡な待遇(均等な待遇)の確保を図るための措置を講じなければなりません。また、事業主は短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明しなければなりません。  

均衡待遇とは?(不合理な待遇差の禁止)

1.職務内容、2.職務内容・配置の変更の範囲、3.その他の事情の違いに応じた範囲内で、待遇を決定する必要があります。

均等待遇とは?(差別的取扱いの禁止)

1.職務内容、2.職務内容・配置の変更の範囲が同じ場合、待遇について同じ取扱いをする必要があります。

「同一労働同一賃金ガイドライン」には「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」についての指針が記載されています。具体的には、

・基本給

・時間外手当(深夜出勤手当や休日出勤手当なども含む)

・賞与

・役職手当、業務手当(特殊作業手当、特殊勤務手当、精皆勤手当など)

・通勤手当

・家族手当、住宅手当

・福利厚生・教育訓練

などです。

■「同一労働同一賃金」の適用で対象となる雇用形態は3種類

①パートタイム労働者

②有期雇用労働者

③派遣労働者

適用後は、正規雇用労働者(正社員)と①〜③の労働者との不合理な待遇格差をなくす必要があります。

■「同一労働同一賃金」の対策に向けた手順

対策は①〜⑥の順に行いましょう。

①労働者の雇用形態を確認する

②待遇の状況を確認する

③待遇に違いがある場合、違いを設けている理由を確認する

④手順②と③で、待遇に違いがあった場合、その違いが「不合理ではない」ことを説明できるように整理しておく。

⑤「法違反」が疑われる状況からの早期の脱却を目指す

⑥改善計画を立てて取り組む

(参照・転載:厚生労働省 都道府県労働局「同一労働同一賃金への対応に向けて パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書」)

以上が、「同一労働同一賃金」についてのごく基本的なポイントです。

まとめ

前述のとおり、「同一労働同一賃金」のための改正パートタイム・有期雇用労働法の内容は、厚生労働省による「同一労働同一賃金ガイドライン」に全て記載されていますが、大変複雑な内容です。

そこでおすすめなのが、同制度をわかりやすく解説した「同一労働同一賃金への対応に向けて パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書」です。厚生労働省 都道府県労働局がまとめており、図解などで詳しく説明されています。総務・人事担当者はぜひ確認してみてください。

「同一労働同一賃金」のための改正パートタイム・有期雇用労働法は、全企業に適用された制度です。難解で、特に体力があまりない企業にとっては対策が厳しいものですが、自社で働く労働者から説明を求められた場合は対応しなければならないため、未対策の企業は早急に取り組みましょう。