総務部などのバックオフィス業務で、キャリアアップや転職で有利になる資格にはどのようなものがあるでしょうか。幅広い業務をこなすバックオフィスでは、実務経験が重視され勤続年数が評価基準になるケースが多くあります。しかし、会計や労務管理、会社法などに関連する知識や資格を持っていることで、キャリアアップや資格手当の支給につながる場合も少なくありません。この記事では、バックオフィス業務に役立つ資格を5つ紹介します。

【日商簿記検定】

日商簿記検定は一般的な知名度が高く、経理の実務的な知識が得られることから実用性もある資格です。中小企業や工場の総務は経理を兼ねることが多く、日商簿記検定の資格を持っていることが転職で有利に働く可能性は高いです。

実務に役立つのは3級からとなります。2021年2月の実績で3級の合格率は67.2%でした。3級は会計の基礎知識を学ぶもので、主に中小企業の経理処理で発生する取引を扱う問題が多くなっています。2級は商業簿記と工業簿記を習得し、製造業で必須の原価計算ができるようになります。合格率は8.6%と難易度が高いですが、資格手当として月5,000円支給する会社もありますので、経理部門での仕事を希望する人は取得して損はありません。1級は税理士や会計士を目指す人向けの極めて難易度の高いものですので、バックオフィスの資格としてはオーバースペックといえるでしょう。

【社会保険労務士】

社会保険労務士は、雇用保険や年金などの書類作成や手続きができるようになる国家資格です。また、助成金の申請なども行えます。経営者と労働者の間に立って労務問題を未然に解決するスペシャリストです。新型コロナウイルスの感染拡大により、業績が悪化した企業は助成金の申請を急いでいます。厚生労働省関連の助成金申請業務は、社労士のサポートが必須と言っても過言ではありません。活躍するフィールドが広く、経営者、労働者双方に必要とされる実感が得られやすい資格です。

ただし、取得には長い勉強時間が必要になります。合格までにはおよそ1,000時間の勉強が必要と言われており、大学卒業以上などの受験要件が設けられています。2020年の合格率は6.4%でした。

【中小企業診断士】

中小企業診断士は、企業経営に関わる広範な知識を身につけることができる国家資格です。中小企業の経営をサポートするコンサルタントが持つ資格と見られがちですが、会計や労務、人事、顧客対応など、さまざまな業務を担当する総務の仕事にも役立ちます。この資格を通して得られる知識は、経済、財務、企業経営理論、運営管理、法務、情報システム、中小企業経営・政策の7つです。経営のマクロ視点から会計などのミクロ視点まで、広く深く学べることが特徴です。会社法や民法など、基本的な法律の知識も身につけられ、実務にも役立ちます。

筆記の一次試験を合格後、筆記及び口述試験がある二次試験に合格して実務補習を受ける方法か、中小企業基盤整備機構・登録養成機関が実施する養成課程を修了することで資格の取得ができます。勉強時間の目安は1,000時間です。2020年の合格率は一次試験が42.5%、二次試験が18.4%でした。

【衛生管理者】

衛生管理者は労働者の健康障害や労働災害を未然に防ぐことを目的とした、労働安全衛生法で定められた国家資格です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者免許を持つ人を1人選任しなければなりません。衛生管理者は労働者の人数に応じて必要な数が定められており、規模の大きい会社では必要不可欠な資格になります。

衛生管理者は第一種と第二種に分かれており、第一種はすべての業種の衛生管理者となることができます。第二種は情報通信業、金融、小売りなど業種が限定されます。

2020年の第一種の合格率は43.8%、第二種は52.8%でした。第一種の受験勉強は100時間が目安と言われており、比較的取得がしやすい資格です。

試験問題は安全に作業できる環境の整備や、危険な薬剤を使用する際の注意点など、主に作業現場などで健康被害や事故が出ないようにするための基礎知識が中心です。

マイナンバー実務検定

マイナンバー制度を理解し、個人情報を保護して適正な取り扱いを身につけるための民間資格です。1級から3級までが用意されています。マイナンバーカードは新型コロナウイルス感染拡大の特別定額給付金をめぐり、2020年6月の交付枚数が889,000枚で前年同月比3.8倍に伸びるなど、ここ最近でいっきに普及しました。

また、マイナンバーに限らず個人情報の漏洩に神経をとがらせている会社は多くなっています。特に規模が大きい企業はマイナンバーの管理をする可能性が高く、実務レベルでの法的知識が要求されるため、旬な資格の一つと言えます。

1級と2級は大企業や官公庁でマイナンバー実務を行う人が対象です。3級は基礎知識で、広く一般的な人々を対象としています。合格率は2級で50%程度です。難易度はそれほど高くはなく、1級の取得も十分狙える資格です。

まとめ

資格を取得する前に自分がどんな仕事をしたいのか、明確にしておくことが最も重要です。転職やキャリアアップのためだけに資格の取得をしても、実務に役立たない知識を増やすことになりかねません。それであれば、実務経験を積んだ方が有効です。自分のありたい姿を思い描き、それを肉付けする資格がキャリアアップへと導きます。