コロナ禍によって、地方移住を真剣に検討する首都圏在住のビジネスパーソンも増えているようです。地方移住には、移住してもリモートワークで現在の会社に勤務する方法と、移住にともない地方企業へ転職する方法の2つがあります。転職となれば、首都圏との賃金格差が問題となりますが、職種によっては首都圏と地方での賃金格差は縮小傾向にあるようです。その背景にあるものとは?

縮小傾向にある首都圏と地方との賃金格差

人材サービス産業協議会(JHR)の「転職賃金相場2019」によると、職務内容によっては首都圏よりも地方の方が高年収の事例もあり、その賃金格差は縮小傾向にあるようです。

この調査によると、物流ドライバーや介護職など、どちらかといえば低賃金だった業種では、とくに東海圏や近畿圏で首都圏より高額になるケースがでてきているようです。また、製造業においては、現場管理系職種や経理財務、人事、法務、経営企画などの職種で、首都圏との格差がほとんどなくなっていることが明らかになっています。

地方の中小企業では、労働者不足だけでなく、後継者不足やマネジメントスタッフの不足も深刻です。優秀な人材を求めるため、高い賃金を払ってでもマネジメントや管理職経験者を求める傾向が、首都圏と地方との賃金格差の縮小に影響しているようです。

転職回数が多い職種は経理財務

「転職賃金相場2019」では、経理財務などの高年収層の転職回数が多い傾向にあることも、明らかになっています。

この調査から、すべての職種で600万円以上の年収が得られるのは、マネジメント業務や管理職経験者が多いということがわかりました。技術系の高年収層においては、マネジメント業務よりも専門職が多くを占めています。

技術系専門職は、その専門性に関連が深い企業にとっては必要な職種ですが、そうでなければその技術を活かすことができないため、どうしても転職先が限定されてしまいます。ところが、IT企業だろうと建設業だろうと、すべての業種で必要となるのが経理財務です。

しかも、地方の中小企業にとっては、会社の将来を託す後継者や資金を管理するマネジメント経験者が不足していますから、キャリアを積んだ経理財務担当者は、のどから手が出るほど欲しい人材です。

また、首都圏や東海・近畿以外の地域に本社所在地と勤務地の両方がある、課長職以上の管理職の求人が、最高年収上位15%値の範囲で750万円から1,200万円となっていることも、この調査からわかりました。地方移住を検討している経理財務などのマネジメント経験者にとっては、かなり魅力的な数字ではないでしょうか。

コロナ禍で高まる地方移住・地方転職への関心

都会で働くビジネスパーソンのなかには、コロナ前から地方への移住意向があったことは、パーソルキャリア株式会社が実施した「地方への転職」の調査(2019年7月)でも明らかになっていました。

東京都在住のミレニアル世代(20代〜30代)の男女の約4割(38.6%)が地方への転職に興味・関心があると回答し、とくに東京都出身で東京都在住の男性の2人に1人が地方への転職に興味を持っているという結果になりました。

高い住居費を払い、満員電車で通勤しなければならない首都圏で働くよりも、地方でゆったりと暮らしたいという憧れ、年老いた両親の介護、自然豊かな環境での子育てなど、地方移住・地方転職の理由はさまざまですが、田舎暮らしを特集する雑誌やテレビ番組などが増えたことも影響しているかもしれません。

まとめ

コロナ禍で広がったリモートワークが、地方移住・地方転職の可能性をさらに高くしています。マネジメント経験のある経理財務担当者や管理職経験者は、首都圏と地方との賃金格差が縮小傾向にあるいまこそ、ワークライフバランスを真剣に考えてみてはいかがでしょうか。