始業や終業時間、残業時間、休日などのルールは就業規則によって定められているが、実は就業規則にはない上司が独自に定めたルール(謎ルール)も存在する。

たとえば、「仕事が終わっているのに、上司の仕事が終わっていないと帰れない」「出社時間の30分前に来なければならない」などは、 “謎ルール”の典型的なケースだろう。問題は、その上司独自の謎ルールがハラスメントに該当するケースが意外に多いことだ。

ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が実施した「職場での謎ルールに関する調査」によると、43.3%が「謎ルール」があると回答し、そのうち74.6%がそのルールにストレスを感じていることがわかった。さらには、その「謎ルール」により約5割が退職を検討したことがあるという結果だった。

終業時間が過ぎても上司の仕事が終わるまで退社できないケースでは、36協定が適法に結ばれ残業代が支払われていれば法的に問題はないが、不合理に残業が強いられているとすれば、「パワハラに該当する可能性がある」というのが専門家の見解だ。

2020年6月の「パワハラ防止法」施行により、企業もパワハラ対策に取り組んでいるはずだ。しかし、勤務先でハラスメント対策意識が向上しているかの質問について、謎ルールがある企業では、「あまり思わない」「全く思わない」が54.3%となり、謎ルールがない企業より20.5ポイントも高くなっている。

謎ルールありの企業で意識が向上していない理由に挙げられているのは、「具体的な取り組みがない」が60.0%、「上司の言動が変わっていない」が30.7%、「相談窓口が機能していない」が52.0%だ。

では、ハラスメント対策意識が向上していると思う理由を、謎ルールありとなしの企業で比較してみよう。大きく異なる点は、謎ルールありの企業では「社内アナウンスの実施」が58.2%で、なしの企業よりも12.2ポイント高くなっている。一方、謎ルールなし企業は「相談窓口が設置された」が5.6ポイント、「研修などが積極的に実施された」が14.9ポイント、ルールがある企業よりも高いことがわかった。

つまり、一方通行のアナウンスにとどまるのか、双方向の具体的な施策を行っているかどうかが、ハラスメント対策意識向上の違いとなって表れていると言えそうだ。

謎ルールの有無やハラスメント研修などの具体的な施策が、ハラスメント意識に関係していることがわかったが、企業のハラスメント対策にはまだまだ改善点が多く、とくに経営層や管理職の意識改革などが強く求められる。

ハラスメント対策の管理部門担当者は、抜本的な課題解決に向けて、より一層の努力が必要となりそうだ。