コロナ渦において、わたしたちの働き方は大きく変化しました。リモートワークが推進されたり、各業務にITツールが導入されたりと、新しい労働環境やシステムに順応しなければならない状況となっています。

そこで問われているのが人事部門のあり方です。給与や勤務、採用業務がシステム化される中で、どのような役割を会社で果たすべきなのでしょうか。

ここでは、人事部門が組織のお荷物とならないために、向き合うべき問題について紹介します。また、それらの問題解決のため、人事部門の役割についても理解していきましょう。

コロナ渦で人事部門に起きた問題

働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きは、以前からも高まりつつありました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、業務のやり方や勤務形態・環境が急速に変化しました。もともとはテレワークや業務システムを導入する予定がなかった企業でも、その対応や整備に追われたのではないでしょうか。

コロナ渦で、さまざま問題を抱えることになったのが人事部門です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、人事部門向けに実施した調査では、「新型コロナウイルスにより人事部門で直面した問題は何でしたか?」という質問に対して、以下のような回答結果があがってきています。

テレワーク等が可能な社内システムや情報端末の未整備(58.6%)新規採用者へのケアや社員育成等の困難さ(55.8%)社員の労務管理・健康管理の困難さ(47.5%)

いかにテレワークの導入を円滑に、そして柔軟にできるかが、人事部門に課せられた課題でした。より具体的に言えば、営業や生産、開発部門など現場で仕事をする社員が、事業基盤を維持して業績を上げ続けられるように、働きやすい環境づくりをすることが人事部門に求められたのです。しかし、テレワーク下で問題になったこととして、以下のようなことが

さきほどの調査で公表されています。

「職種間での不公平性」( 60.4%)「組織内のコミュニケーションの減少・不足」(58.4%)「社員の労務管理・ 健康管理の困難さ」(47.5%)

ここでわかるのは、現場の従業員と人事部門との間に齟齬が生じていることです。

人事部門は、新しい環境やシステムなど、さまざまな業務に追われています。さらには、感染症や就業に関する法律にも対応しなければなりません。たとえば、従業員が新型コロナウイルスに罹患していることが確認された場合、感染症法に基づいて、都道府県知事が該当する労働者に対して就業制限や入院の勧告などを行うことができます。もし強制的に就業させた場合は、労働安全衛生法に基づいて、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

参照:厚生労働省・新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

法律を遵守した上で、組織を迅速に変革しなければなりません。しかし、現場の従業員にとっては、コミュニケーションの機会や接点が減っているため、意見や要望を届けることが困難です。人事部門の動きも見えづらくなっています。

つまり、人事部門の業務としての問題、そして他部門とのコミュニケーション不足によって生まれている問題があるということです。

問われている人事部門の存在意義

一部では、人事部門は本当に必要な組織なのか、業務をシステム化すれば不要ではないのかという厳しい意見もあります。実際に給与や労働時間、労務管理などの業務は、システム化、もしくはアウトソース化することが可能です。業務効率化やコストの削減にも役立つでしょう。

ここで考えるべきは、人事部門の存在意義です。そもそも欧米企業では、人材の採用や育成、評価は、各事業部門内で実施しています。人事部門が存在しない大企業も少なくありません。ではコロナ渦において、日本企業の人事部門は、どのような役割を果たすべきでしょうか。それは、従業員のエンゲージメントを高めることです。エンゲージメントとは、組織の理念ビジョンや向かっている方向性に、従業員が共感して、熱意をもって貢献したいという意欲を意味します。

すでに指摘した通り、テレワーク下で社員はさまざまな不満を抱えています。会社とは離れた環境で仕事をすることで、孤立感や不安が生まれやすくなっているかもしれません。たとえば「仕事がきちんと評価されているのか」「スキル・能力が身についているのか」など、企業への帰属意識は低下しやすくなっています。

ここがまさに、人事部門が本領を発揮すべきタイミングです。どのような問題を社員が抱えているのかを察知して、人材育成や人事評価、採用活動によって、エンゲージメントを高めるための施策を実行していくべきでしょう。

リモート環境だからこそ、定期的な打ち合わせや面談は重要です。場合によっては、対面でのOJT、新人研修をする環境を整えることも必要とされます。部門を横断して従業員のモチベーションを維持・向上させながら、組織の力を強化させていくのが、これから必要とされる人事部門のあり方ではないでしょうか。

まとめ

日本企業の人事部門は、重要な局面に立っています。会社に求められる組織になるか、それともお荷物とされるのかは、これからの打ち手によって左右されるでしょう。そのためには、少しでも人事部門を存続させるという発想ではなく、いかに会社に貢献できる組織に成長させられるかという積極的な視点が必要です。コロナ渦で従業員が離れ離れになっている状況だからこそ、団結力を高めるためのサポートを人事部門はしていくべきでしょう。