リモートワークなどの新しい働き方を導入する企業の増加に合わせて、上司と部下のコミュニケーション施策として1on1ミーティングを取り入れる企業も増えています。しかし「上司の自己満足」という声もあり、効果をあげるためには1on1の目的を正しく理解する必要がありそうです。

あくまでも部下の成長を目的にしたマネジメント手法

1on1を直訳すると1対1、つまり上司と部下が1対1で向き合って話し合うことですが、中高年のベテラン社員からは、「そんなことは昔からやってきた、何を今さら」という声もあるようです。

確かに、仕事に行きづまっている若手を飲みに誘い、愚痴や悩みに耳を傾け、自分の経験を交えてアドバイスをするなど、上司と部下が1対1で向き合うことは、昔から盛んに行われてきたことです。

しかし1on1とは、あくまでも部下の成長を目的にしたマネジメント手法であり、上司が部下を一方的に評価する場でも、上司の自慢話を披露する場でもありません。部下の成長を加速させるために上司と部下が1対1で話し合うことが重要なポイントです。

上司より部下の方が低い「1on1への期待値」

ところで、1on1ミーティングの受け止め方ですが、HRテックのUniposが全国の上場企業勤務の20〜60代の管理職と一般社員約650人に調査した結果、「すべての業務の中で1on1の優先度が高い」と考えている管理職は65%ですが、一般社員は47%にとどまっています。

また、「1on1に期待すること」の12項目でも、「フィードバックの場になっている」、「技術や能力の習得」「悩みや不安を理解し合う場になっている」などすべての項目で、部下の期待は上司の期待値よりも下回っています。

導入目的を明確にすることが大切

1on1に対する優先度や期待値は、上司より部下の方が低いという結果となりましたが、上司と部下の受け止め方が違う理由は、どこにあるのでしょうか。

1on1が日本で注目されるようになったのは、グーグルやインテル、マイクロソフトなど、巨大IT企業がマネジメント手法として、相次いで導入するようになったことが影響しているようです。

しかし、新たな手法として導入を急いだために、若手の成長支援なのか、それとも離職を防止するための説得なのか、あるいは業務の進捗状況を把握するためなのか、日本企業の導入目的が明確ではなく、それが上司と部下の認識のズレになっていると指摘する声もあります。

導入の目的が明確でなければ、具体的な方法を見出すことも難しいでしょう。その結果、若手の“成長支援”というよりも、どちらかといえば上司による “監視”のようなミーティングと捉えられることもあるでしょう。まずは、導入目的を正しく理解することが重要です。

上司と部下との信頼関係があってこその1on1

1on1ミーティングは、そもそも上司と部下との信頼関係があってこそ成り立つものです。上司が上から目線でのミーティングを行っても、成果はもちろんのこと満足感も得られません。

重要なのは、部下に現状の問題の解決策を考えさせるように持っていくことです。そのためには、上司が先に自分の考えを伝えるのではなく、部下に話をしてもらうようにすることです。

まとめ

リモートワークが普及し、ただでさえコミュニケーションが難しい時代です。「1on1がうまくいかない」と嘆く前に、まずは1on1導入の目的は何か、普段から部下との信頼関係を築く努力をしているかなど、見つめ直してみる必要がありそうです。