日本企業が関連する2021年のM&A(合併・買収)件数が、2年ぶりに過去最多を更新したことを、M&A助言大手のレコフが公表しました。
国内市場の伸び悩みを受け、統合や再編の動きが加速しているようです。

攻めのビジネス戦略としてのM&A

M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、合併や買収、あるいは業務提携や資本提携などによって2つ以上の会社が1つになることです。

“買収”といえば、“乗っ取り”など弱肉強食のようなイメージもありますが、後継者がいない場合の事業承継問題の解決や、業界再編に備えての経営基盤の強化、事業領域の拡大など、企業の存続と発展を目指すための攻めのビジネス戦略でもあります。

そうした攻めのビジネス戦略である日本企業関連のM&Aは、コロナ前の2019年まで8年連続で増加傾向が続いていました。2020年はコロナ禍でM&Aの交渉そのものが一時的に減少しました。しかし、2021年は再び増加に転じ、2020年の14.7%増となる4,280件と過去最多を更新しています。

世界的な脱炭素の流れと事業の再編の活発化

M&Aの増加傾向は、今後も続くと見られています。
レコフではその背景に「新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な脱炭素の流れを受け、事業の再編が活発化している」ことなどを挙げています。

それを示すように、ベンチャー企業向け投資や脱炭素関連案件が増加しています。
さらに、国内市場の伸び悩みを背景に大企業が子会社を売るケースも増えるなど、統合・再編の動きが加速していることがうかがえます。

M&Aの主な手法としては株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割があります。なかでも、DX技術の高い企業がM&Aのターゲットとして注目を集めています。また、4月の東京証券取引所の市場再編を目前に控え、上場基準に対応するための再編の動きも出ているようです。

M&A総額は16兆4,844億円

2021年のM&A総額は16兆4,844億円です。話題になったM&A案件を見ていくと、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による米地銀MUFGユニオンバンクの売却の約1兆9,000億円が最高額です。

また、日立製作所が米IT企業のグローバルロジック社を約1兆円で買収し、中核子会社の日立金属を日米の投資ファンド連合に約8,000億円で売却したケースも、大型M&A案件として注目を集めました。

大企業による事業組み替えが旺盛だったことを示すM&A案件といえます。脱炭素もM&Aのキーワードで、ENEOSホールディングスは、子会社で道路舗装大手のNIPPOの株式を約1,900億円で売却して非上場化する方針です。

舗装用のアスファルト合材をつくる過程で、大量の二酸化炭素(CO2)が出ることが経営課題となっていたことに対応するためです。さらに、北海油田で原油生産を手がける英国子会社も約1,900億円で手放すようです。その一方で、太陽光などの再生可能エネルギー大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを約2,000億円で買収し、電気自動車の普及に伴う石油需要の減少を見越して、石油関連事業からの脱却を進めていることがうかがえます。

まとめ

経済環境の目まぐるしい変化に、よりスピーディーに対応していくためにも、M&Aは有効な戦略でもあります。
これまでのように、一から新事業を立ち上げても、先行企業になかなか追いつくことができない時代になっています。

つまり、自社に不足している技術や人材を、合併・買収によって補うことによって、企業の存続と発展を目指すための攻めのビジネス戦略として、M&Aを検討することも必要な時代といえそうです。