相変わらず日本の賃金水準は低いが、人手不足時代の人材確保手段なのか、今年は大企業の多くが、賃金を見直す動きとなっている。もちろん、賃上げどころではない中小零細企業の数の方が、圧倒的に多いのが現実だ。

それでも賃上げ機運が高まることは、ビジネスパーソンにとっては歓迎すべき風潮だ。では、今年の新入社員の初任給は、どうなっているのだろうか。

民間調査機関の一般財団法人労務行政研究所が、4月13日までに集まった東証プライム上場企業165社の2022年度新入社員の初任給の速報値は、大学卒21万6,637円、大学院卒修士23万4,239円、短大卒18万7,044円、高校卒17万5,234円である。

東証プライム上場企業の41.8%が、全学歴での初任給の引き上げを実施した。これは過去10年で最多の割合となり、昨年の速報集計時の17.1%から大幅に増え、たしかに多くの企業が賃上げに踏み切ったことを示している。

しかし、大学卒新入社員の初任給21万6,637円という額を見ると、ここ数年の初任給水準と、それほど変わらない印象だ。それもそのはず、引き上げ額は1,000円台が25.0%ともっとも多く、10,000円以上が23.3%、平均上昇額は5,276円である。

東証プライム上場企業は、これまでの東証一部上場企業、つまり日本を代表する大手企業だ。その平均上昇額が5,276円ということは、日本企業の大半を占める中小零細企業は、その平均水準を下回ることになりそうだ。

賃上げが実施されていればいい方で、半数超が給与水準を据え置いているというから、ここ最近の物価上昇率に追いつかないことが想像できる。しかも、このまま円安傾向が続けば、夏にはさらにもう一段の値上げラッシュとなるという予測もある。

コロナ禍で長らく行動制限が続いていたが、ここにきて制限が解除となった。水際対策の緩和も取りざたされていることから、飲食店や旅行関連業者は、個人消費の拡大に期待しているだろうが、当分はビジネスパーソンの財布の紐は、固いままとなりそうだ。