政府は、301人以上を常時雇用する企業を対象に、男女の賃金差の開示を義務付ける方針を固めました。
この開示義務化によって、先進主要国の中で最悪水準とされる日本の男女賃金格差の改善につながるのでしょうか。

開示義務化の対象となるのは16,650社

男女の賃金差の開示義務化は、上場・非上場を問わず、301人以上を常時雇用する企業16,650社が対象となり、上場企業は有価証券報告書での開示が義務付けられることになります。

企業は、男性の賃金水準に対する女性の比率をホームページなどで開示するほか、賃金差に合理的な理由がある場合には、なぜ賃金差があるのか説明を記載しなければなりません。また、正規・非正規雇用で分けた数値の開示も求められることになります。

男女の賃金格差の問題は、日本だけではなく先進国共通の課題でもあります。2020年時点の男性の賃金を「100」とすると、女性の賃金は経済協力開発機構(OECD)の平均で「88.4」と男性の賃金水準を下回っているのです。

しかし、日本は「77.5」ですから、その平均水準すら大きく下回っています。

2021年賃金平均額は男性33.7万円、女性25.3万円

先進諸国に比べると、日本の男女の賃金格差が大きいことは数字上からも明らかです。しかし、1976年から1986年まで男女の賃金格差の数値は「59」前後で、徐々に格差が縮まりつつある傾向にはあるようです。

そのきっかけになったのが、男女雇用機会均等法(1986年施行)で、2000年が「65.5」、2019年が「74.3」となっています。賃金構造基本統計調査によると、2021年の賃金平均額は男性33.7万円、女性25.3万円で、女性の賃金は男性の75%ほどです。

このように、格差は年々縮小傾向にはありますが、先進主要国の中で最悪水準である男女の賃金格差は、いまだ解消されていないというのが日本の実態です。

雇用形態や女性への処遇が格差の大きな要因

では、なぜ、日本では男性と女性の賃金に、これほど開きがあるのでしょうか。女性は男性に比べ非正規雇用で働くケースが多いことや、結婚や出産などで仕事を離れるなど勤続年数が短いことなどが、その理由として挙げられています。

厚生労働省の調査によると、男性と女性の賃金格差は、給与所得者の男性の平均年収532万円に対して女性は239万円にとどまっています。さらに正規雇用者より賃金が低い非正規雇用者割合は男性22.2%に対して、女性は倍以上の54.4%です。

つまり、男女間の賃金格差は、雇用形態が大きく影響していることをうかがえます。また、女性は結婚や出産などで一時的に仕事を離れることがありますが、子育てが一段落したあとに職場復帰する際の処遇も、賃金格差が生まれる要因となっているようです。

女性が注目するのは待遇やキャリアで男女対等に評価する企業

そもそも、同じ条件で働いた場合、男女で賃金に差をつけることは労働基準法で禁じられています。しかし、日本の企業は女性管理職の割合が少ないのです。

男女間の賃金格差を是正するためには、賃金差の開示義務化だけでなく、年功序列や勤続年数によるこれまでのキャリア制度を見直すなど、女性に対する処遇の違いなども改める必要がありそうです。

いずれにしても、労働力不足が深刻な日本では、女性の活躍は企業が躍進するためには欠かせない要素です。男女間の賃金格差開示義務化で、女性の賃金が男性よりも大幅に低い企業は、女性からの評価が下がり、待遇やキャリアで男女が対等に評価されている企業が注目されるのではないでしょうか。

まとめ

男女の賃金差の開示をすでに義務化しているイギリスでは、開示が格差是正につながっていないという検証結果もあります。しかし、開示することによって、賃金格差の問題点や要因が明確になることを期待したいものです。